新NISA(少額投資非課税制度)をきっかけに投資を始める人が一段と増えている。株式相場はこのところ不安定な動きも目立ち、投資を始めてはみたものの向き合い方に悩んでいるという人も多いはず。株式投資の経験から「株ドル」とも呼ばれるグラビアアイドルの杉原杏璃さんは、投資の秘訣について「習うより慣れろ」とまずはやってみることが大切と話す。
――23歳のとき元手30万円ほどで投資を始め、30代前半に金融資産1億円超えの「億り人」になったとのことですが、株式投資を始めたきっかけは何でしょうか。
「芸能のお仕事としての稼ぎが少なく、お金を増やすためにお金に働いてもらおうと考えました。ネット証券が勢いづき投資が身近になったタイミングだったこともあって、『好きな会社を買うんでしょ』くらいの軽い気持ちで株式投資を始めました」
「『習うより慣れろ』、まずはやってみようと楽観的な姿勢で、最初に買った株が東京ドーム(2021年に上場廃止)でした。野球観戦が好きなので株主優待のチケット目当てだったのですが、優待の対象となる株数に足りていないと後になって気づきました」
――「知識がない」「よくわからない」といった理由で投資を躊躇する人も多いです。杉原さんは投資に対する不安をどのように乗り越えましたか。
「投資で含み損が出たときはチャートをみて、下げ局面の後に上昇してきたことをデータで確認して心を落ち着かせていました。証券会社のマイページを見ないで本業や遊びなど他のことに集中するようにしていた時期もありました。『人の行く裏に道あり花の山』『休むも相場』といった相場格言も大切にしています」
「2008年の米リーマン・ショック時は痛い目にあいました。ただ、投資に対して本気になるきっかけになったので、投資を始めて早い段階で大きな相場の下落を経験できたのは良かったです。コロナショックの際には、値下がりしたところで買いに動けました。ピンチの時こそチャンスと思うように心掛けています」
――投資先はどのように選んでいますか。
「強みを知っている身近な企業に投資します。例えば自分でプレイして面白いと思ったゲーム関連や、スーパーマーケットで目にした売れ筋商品を販売している企業などです。気になった企業は決算短信でファンダメンタルズを確認したり、チャートをみたりして買い時を模索します。新型コロナウイルス禍では任天堂(7974)やヤクルト本社(2267)に投資しました」
「連続増配銘柄や株主優待銘柄にも投資します。値下がりしても、配当や優待で楽しめるというマインドは大事だと考えています」
「売却の基準は明確には決めていません。売却に悩んだ時はチャートをみています。配当を目当てに投資している株は減配となったら入れ替え時とみて潔く売ります」
――日本株以外の資産運用について教えてください。
「NISAを使いながら老後の資金として投資信託をほったらかし投資しています。米主要株価指数に連動するインデックス型のほか、インド株投信などを買い付けています。個別銘柄は日本株のほうが情報を手に入れやすく得意でもあるので、米株は3銘柄程度の保有にとどめています」
「数年前から不動産投資を始めました。外国為替証拠金(FX)は半分自動売買で資金を運用しています。日本だけでなく取引通貨の経済や金融政策まで考えられないと思い、自分でこまめな売買はしていません」
――投資未経験者や初心者に向けてメッセージをお願いします。
「ゼロからの知識でも投資はスタートできるということを身をもって実感しました。資産運用は情報収集は必要ですが誰でもできるということを伝えたいです。投資は最初の1歩がゴールだと思っています。もちろんいきなりうまくはならないので、リスクを理解した上で2~3年はちょっとちょっと損をしながら実践して学んでみてほしいです」
(QUICK Money World 聞き手は小松めぐみ)
<略歴>杉原杏璃(すぎはら・あんり)氏
1982年生まれ、広島県出身。グラビアアイドル、実業家、投資家。補正下着ブランド「Andijur」をプロデュース。投資関連の著書に「マンガでよくわかる 株1年生~億り人 杉原杏璃と一緒に~」(2021年12月)などがあり、この7月に「マンガでよくわかる 資産運用1年生」を出版した。