QUICKが9月10日に発表した9月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」で、夏以降に進んだ円高・ドル安が「経営にプラス」と答えた企業が「マイナス」の回答を上回った。非製造業を中心に、円高反転を好意的に受け止めている企業が優勢という結果になった。
QUICK短観では定型質問のほか、最近の話題やトピックについて上場企業にアンケートしている。8月の外国為替市場では年初来続いた円安・ドル高基調が一服し、一転円買いが進んだ。円相場のトレンドが円高方向に転じたことが自社の経営にどう影響するか聞いたところ、「経営にとってプラス」が22%と、「経営にとってマイナス」の16%を上回った。最も多かった回答は「総合的に中立」で44%を占めた。業種による内訳をみると、製造業では「マイナス」と答えた企業の方が多かったが、非製造業で「プラス」が大きく上回った。
半数以上の企業が「南海トラフ地震」対応を実施
気象庁は8月8日、宮崎・日向灘を震源とするマグニチュード(M)7.1の地震を受けて、南海トラフ地震に関する臨時情報の「巨大地震注意」を初めて発表した。これを受けての対応についても調査したところ、「防災対策の再点検や社員への注意喚起を行った」と答えた企業が57%を占めた。「現状維持」の回答が35%で続いた。対応規模に違いはあるものの、半数を超える企業が何らかの特別な対応をとったようだ。
コメントでは具体的な対応として、「有事の帰宅困難者を想定し、防災備蓄品を国内の全事業所に揃えた」、「株主総会の直前だったので、株主総会の進行や事前準備・事後処理に様々なケースを想定して盛り込んだ」などの声が寄せられた。
製造業DIプラス21、2カ月ぶり悪化 全産業も悪化
製造業の業況判断指数(DI)は前月調査から2ポイント悪化のプラス21だった。悪化は2カ月ぶり。全産業DIは前月比1ポイント悪化のプラス23だった。
現在の円相場について「想定より円安」と答えた企業の割合から「想定より円高」と答えた割合を引いて算出する「円相場DI」(全産業)は前月比36ポイント低下の19だった。外国為替市場で円高・ドル安が進展したことに伴い、2023年2月調査以来1年7カ月ぶりの低水準を付けた。
調査期間は8月27日~9月5日で、上場企業221社が回答した。