ロサンゼルス国際空港(LAX)から10分。グーグルをはじめテクノロジー企業が集中する「シリコンビーチ」と呼ばれるプラヤビスタの住宅地側に大型観光バスが駐車。20人ほどの日本人観光客が降りてきた。ロサンゼルス・ドジャースのユニフォームを着た人もいる。試合観戦前に腹ごしらえするらしく、集団は近くのレストランやスーパー「WHOLE FOODS」に吸い込まれていった。大手旅行代理店が企画したMLB観戦チケット付きツアーだ。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は、カリフォルニア各地や日本からの渡航を問わずMLBスーパースターの大谷翔平ファンが多額のお金を落としていると報じた。ドジャー・スタジアムに近いダウンタウンのホテルの日本人宿泊客は30%増。観戦者は前年比で12%増えたと伝えた。大谷の巨大壁画が描かれた日本人街「リトル・トーキョー」は外国人が急増した浅草のようだった。サンタモニカの「ドジャース・クラブハウス」では、レジ前に大谷グッズを抱えた日本人観光客が行列をつくっていた。
19日のマイアミのマーリンズ戦で大谷がMLB史上初の「50本塁打50盗塁」を達成。米国の主要紙が「大谷が歴史をつくった」と異例に大きく取り上げた。ワシントン・ポスト紙は「信じられない偉業を達成」。ニューヨーク・タイムズ紙とウォール・ストリート・ジャーナル紙は、50本塁打50盗塁に加え、この日6打数6安打・本塁打3本・10打点・盗塁2の成績を残し、MLB史上最も偉大なゲームだったと伝えた。地元ロサンゼルス・タイムズ紙は、大谷は全会一致で最優秀選手(MVP)に選ばれるだろうと報道。記者の興奮が伝わる熱い記事ばかり。中東拠点の衛星TVアルジャズィーラも大きく報じたのには驚いた。
偉業達成の直後、50本塁打50盗塁を記念するTシャツ、フィギュア、ペナント、タオル、マグカップ、銀コインなどがドジャース・オンラインストアで発売された。ロサンゼルス・タイムズ紙は、大谷が多額の報酬を大きく上回る経済貢献をしたと報じた。大谷の本塁打が落ちる確率が最も高いとされるスタジアムの外野席セクション304のチケット代は、偉業達成後に185ドル60セントから215ドル60セント(約3万1000円)にさらに値上がりしたとしている。別の記事で50本塁打のボールは50万ドル(約7200万円)を超す価値があると伝えた。
ドジャースのレギュラーシーズンは29日のコロラド・ロッキーズ戦が最後。10月はポストシーズン。大谷フィーバーはさらに過熱し、経済効果は一段大きくなりそうだ。
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福井県出身、慶應義塾大学卒。1985年テレビ東京入社、報道局経済部を経てブリュッセル、モスクワ、ニューヨーク支局長を歴任。ソニーを経て、現在は米国ロサンゼルスを拠点に海外情報を発信する。