【日経QUICKニュース(NQN)】大和総研は29日、株主優待を取り巻く環境の変化と実施動向を公表し、8月の「令和のブラックマンデー」で株式相場が急落した際に優待政策に株価を下支えする一定の効果があったと分析した。7月31日から8月5日の優待を実施しない銘柄の株価下落率はマイナス20%強だったが、優待を実施する銘柄は同15~20%の下落にとどまった。
上場企業の株主優待は2024年の直近時点(9月時点で調査)で前年比微増となり、導入企業の割合は全体の約37%となった。中長期保有の株主を増やす狙いで導入するケースが増える半面、公平な利益還元の観点で廃止する事例も増えたという。長期保有限定への優待政策の変更が「改悪」と判断されるケースがあるとも指摘した。
2024年は歴史的な株高や新NISA(少額投資非課税制度)の影響で国内で株式投資に対する機運が高まった。大和総研の瀬戸佑基研究員は同日のメディア向け勉強会で「個人投資家による株式市場への参入が進んだので、優待導入で株主を増やそうという企業が増えた可能性がある」と話した。