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のぞみに個室席の必然 拡大する格差が商機生む(マーケットエッセンシャル 前田昌孝)

記事公開日 2025/4/1 16:00 最終更新日 2025/4/1 16:00 国内株式市場サマリー 日本株 国内景気 マーケットエッセンシャル 前田昌孝

(この記事は今週のマーケットエッセンシャルの要約です)

JR東海が3月19日、東海道新幹線に2027年度中にグリーン車よりも上のクラスとして、半個室タイプの座席を導入すると発表した。資産面でも所得面でも最上位層が増え、サービスを向上させないと機会損失が発生するからだ。

日銀が3月21日に発表した最新の資金循環統計によると、2024年年間の投資信託への資金流入は11兆5646億円と、銀行の普通・定期預金への資金流入の9兆7546億円を上回った。少額投資非課税制度(NISA)が2024年にバージョンアップされ、個人が預金よりも投信に走ったことがわかる。

銀行預金と投資信託の資金流出入

家計の金融資産保有額(個人金融資産)も2024年12月末には過去最高の2230兆円になった。個人金融資産の増加は資金流出入という「フロー」要因と、保有資産の評価損益の増減という「調整」要因の両方で発生する。増加要因がもっぱら「調整」にあるときは、株式や投資信託の保有層が大きなメリットを受けていて、資産格差が拡大していると想像できる。

この観点から毎年の個人金融資産の増加要因を分析すると、グラフのように2023年も2024年ももっぱら「調整」要因が全体の残高を押し上げていた。2023年は増加分106兆5000億円の87・7%、2024年は増加分85兆8000億円の73・9%が「調整」要因による増加だった。

個人金融資産の増減要因

所得格差の拡大は総務省が2月7日に公表した2024年の家計調査からうかがうことができる。2人以上の勤労者世帯を年収別に10グループに分け、収入の全体の平均値が2000年以降で最も低かった2011年を基準に、2024年までの13年間の伸び率を計算すると、最も収入が多い第10分位は可処分所得が28・1%増と10グループのなかで最も伸びていた。消費支出も8・4%増と、第1分位の11・0%に次いで大きく増えていた。

年収階級別可処分所得と所費支出の伸び率

超高所得者層は財布のひもの締め方が緩いというか、価値を認めるものには支出をいとわないのかもしれない。節約一辺倒の中低位所得者層とは一線を画しているようだ。

所得格差が広がっているのかどうかを「ジニ係数」という指標で検証してみよう。厚生労働省がおおむね3年ごとに実施している「所得再分配調査」では、当初所得(税引き前の所得)をもとに計算したジニ係数は1990年の0・43から2021年の0・57へと上昇傾向をたどっている。一般にジニ係数が0・5を超えると、格差が社会的にも問題になりがちだ。

しかし、税制や社会保障政策などの再分配政策によって、当初所得の格差は一部是正される。再分配所得をもとに計算したジニ係数は1990年の0・36から2021年の0・38へわずかに増えているだけだという。日本の再分配政策は一応、有効なのだろう。

家計調査から得られるデータをもとに、筆者が可処分所得をベースにしたジニ係数を試算すると、2000年に0・20だったのが、グラフのように2006年に0・26、2012年に0・28、2018年に0・24、2024年に0・29となっている。消費支出に関するジニ係数も、経済全体の状況によって変動が大きいが、それでも2000年から2024年にかけては上昇傾向をたどっている。

家計調査から試算したジニ係数の推移

資産、所得両面での格差の拡大ぶりを踏まえると、消費財メーカーや個人向けサービスの提供事業者にとっては、競争社会の必然で増加していく富裕層のニーズを取り込まなければ、じり貧になりかねないのだ。

(記事の全文はマーケットエッセンシャルのホームページhttps://marketessential.jpをご覧ください)

著者名

マーケットエッセンシャル 前田昌孝

1957年生まれ。1979年東京大学教養学部教養学科卒、日本経済新聞社に入り、産業部、神戸支社を経て1984年に証券部に配属。1997年から証券市場を担当する編集委員に。この間、米国ワシントン支局記者(1991~94年)、日本経済研究センター主任研究員(2010~13年)なども務めた。


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