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PBR「1倍割れ」はなぜ良くないの? PBRの目安や使い方を解説

記事公開日 2025/4/24 16:30 最終更新日 2025/4/24 16:30 経済・ビジネス コラム・インタビュー 日本株 PBR 市場用語再点検 金融コラム

市場用語再点検「PBR」

【QUICK Money World 辰巳 華世】「PBR1倍割れ」―――これがどういう状況か分かりますか?株価が妥当な水準なのかどうか判断する投資指標の一つにPBR(株価純資産倍率)があります。今回はPBRについて基本的な説明から、「PBR1倍割れ」が注目される理由、PBRの目安や使い方などを詳しく説明します。

PBRとは何か

PBRとは、Price Book-value Raitoの略語で、ピー・ビー・アールと読みます。日本語では「株価純資産倍率」と言います。株価の妥当性を判断する指標の一つで、企業の株価がその純資産と比べて割高か割安かを示す指標です。

●PBRの計算式●

PBRの算出式

純資産とは具体的には貸借対照表(B/S)の「資本金」、「資本剰余金」、「利益剰余金」などの合計です。株主からの出資金やこれまでの利益の蓄積などを足し合わせたもので、返済する必要がないお金になります。自己資本とも呼ばれています。PBRは純資産をベースに計算し、「純資産に対して株価がどれくらいまで買われているか」を判断する指標です。

PBRの目安の一つは1倍です。PBRが1倍ということは、株価と1株当たり純資産(BPS)が一致していることになります。これは投資先の企業が解散しても理論上は投資したのと同じ金額が戻ってくることを意味しています。PBRが1倍よりも大きい時は、株価がその企業の1株当たり純資産より高く、割高と判断されますPBRは値が大きい程、割高とされます。

具体的な数字をはじいてみましょう。ある企業の1株当たり純資産は1000円、株価が900円とします。PBRは、900÷1000=0.9倍となり「PBR1倍割れ」の状態となり、市場からの評価が低いことを意味しています。PBR「1倍割れ」とは、企業の株価がBPSよりも低い状態です。

日本の株式市場ではPBR1倍割れの企業が多く、市場からの評価が低いことが問題となっています。ここ最近、特にPBR1倍割れの企業に注目が集まる傾向があります。きっかけとして、東京証券取引所(東証)が2023年、PBR1倍を下回る上場企業に対して、株価水準を引き上げるための具体策を開示し実行するように要請したことがあります。これにより、投資家は、PBR1倍割れの企業がどのように株主価値を高めるか、より注目するようになっています。

 

PBRが上昇・低下する要因

PBRが1倍を超えて大きい時は、投資家の期待が高まり、企業の成長が評価されている状態です。一方、PBR1倍割れは、市場の評価が低く、企業の株価が1株当たり純資産よりも低い状態です。

PBRは、「株価÷株当たり純資産」で計算します。PBRの上昇や下落には、株価と株当たり純資産が影響します。例えば、株価が上昇すれば、計算式の分子が大きくなるのでPBRは上昇します。一方、株価が下がれば分子が小さくなるので、PBRは低下します。それぞれ、たとえばどのような時、上昇・低下するのか見てみましょう。

●PBRの変動要因●

PBRの上昇低下要因

PBR上昇ケース

PBRが上昇するのは、株価が上昇するか、1株当たり純資産が減少する場合です。株価上昇の要因には、景気回復、個別企業の業績の改善、成長分野で注目度が上がる、増配などがあります。1株当たり純資産の減少要因は、業績悪化による利益の減少、資産の評価損などがあります。

PBR低下ケース

一方、PBRが低下するのは、株価が下落するか、1株当たり純資産が増加する場合です。株価下落の要因には、景気後退、業績の悪化、減配などがあります。1株当たり純資産の増加要因は、業績好調による利益の増加、増資による自己資本の増強などがあります。ただし増資により発行済み株式数が大幅に増えると、むしろ1株当たり純資産は減少する場合もあります。

PBRの目安

PBRの目安の一つは、投資先の企業が解散しても理論上は投資したのと同じ金額が戻ってくることを意味する「1倍」です。一般に、1倍割れは株価が割安な状態を示すとされます。ただし、実際に投資をする際には注意が必要です。

PBRが1倍を下回る状態が続いている場合、保有資産の大幅な含み損や減損の恐れなどが市場で警戒されている可能性があるからです。同業他社のPBRと比べたり、事業の安定性、成長性などを踏まえたりして、総合的に投資の判断をすることが大切です。

 

PBRの活用方法

PBRとよく似た投資指標にPER(株価収益率)があります。どちらも株価の妥当性を判断するという点で似ています。違いは、PERは純利益ベース、PBRは純資産ベースで見ている点です。PERでは、企業が出す利益に対して株価がどれくらいの水準まで買われているかを測ります。PBRは、企業が持つ資産に対して株価がどのくらいの水準まで買われているかを測ります。どちらも投資をする上で基本となる投資指標です。ただし、どちらも絶対的なものではありません。PBRだけ、PERだけなど一つの投資指標で判断するのではなく、さまざまな情報から分析し総合的に判断していくことが必要です。

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まとめ

PBRとは、株価の妥当性を判断する指標の一つで、企業の株価が純資産に対しどのくらいの水準まで買われているかを示します。PBRの1倍割れは株価が割安であることを示す目安になりますが、1倍割れが長く続く企業は、資産の健全性に問題を抱えている恐れもあります。実際に投資する際には、さまざまな情報から総合的に判断することが必要です。

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著者名

QUICK Money World 辰巳 華世

2003年にQUICKに入社後、15年間勤務。約5年にわたり日本経済新聞社、日経QUICKニュース社(NQN)にて記者職に就く。QUICK退社後、フリーランスライターとして2020年より「QUICK Money World」に寄稿。


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