日経平均が2万2000円~2万3000円のボックス推移を続ける中、市場の一部ではある投資家に対する関心が徐々に高まっている。ロンドンに拠点を置く「XTXマーケッツ」だ。日本株の取引において巨額の売買を執行しているとされる。
この点に関してはパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直氏のレポートが参考になる。同氏によると「今年から欧州で参入した新鋭かつ巨大なマーケットメーカー。巨額の顧客注文に自己勘定で対応する点でも有名で、日本株式に対してはマーケットメイク型クオンツ戦略で毎日大量の日本株の売り/買い注文を出してきている」という。
XTXのサイト(https://www.xtxmarkets.com/)を確認すると、グローバル市場における1日あたりの総取引量は1200億㌦(約13兆円)に達するとしている。データセンターは世界中に40もある。取引の大半は為替が占めるようだが、強固な財務体質から株式売買でも大きな自己ポジションも取るようだ。1日あたりの日本株の取引額は優に1000億円を超え、相場が急変した今年2月には1日で5000億円も取引きしたとまことしやかにささやかれる。
高い技術力を背景に投資家同士の注文のマッチングに優れているほか「MiFIDⅡのマーケットメーカーへの規制内容が発表されたが、この新規制をかいくぐれる執行能力を提供し始めたため、欧米系のヘッジファンドの注文が集まっている」(宮島氏)。
マーケットメーカーとされる一方でXTX自体がHFT、ヘッジファンドとも定義される。日本における取引では主に米系証券2社、欧州系1社を経由しているとの見方もあった。「往復数千億円の売買代金を寄り付き、午後、引け前に分散しているもよう」という指摘も出ている。
いずれによせ大きなトレンドが発生しなければ、ボックス圏の中の上下だけでさやを抜くトレードが中心になると考えられる。結果的に足元でレンジ相場が続いている要因のひとつが、このあたりにもありそうだ。(岩切清司)
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He is still alive.