11日の海外市場ではドル円が112円17銭まで振れ、1月中旬以来、半年ぶりのドル高・円安水準を回復した。トランプ大統領の本音では中間選挙に向けて保護主義的な貿易政策をとり、為替もドル安に進むことが望ましいと思われるが、グローバル投資家が米国株や債券などのドル建て資産に資金をレパトリエーションしている事を示唆しているのか、為替市場ではドル独歩高で真逆の展開となっている。
ある投資会社は「ドル円が1ドル=112円台に乗せたが、需給ですかね。海外勢は2週間前からドル円を買いまくっている。ヘッジファンドは今回の2000億ドルの追加関税報道が出た際にはドル円売りましたが、110円台後半では大きく買い戻してました」と話す。
新興国株やコモディティ相場に変調の兆しがみられるため、ドル円が112円台に乗せたからといって日本株が相対的にアウトパフォームする展開は想定しづらい。トランプ大統領のオウンゴールでドル高米株安が進む状況だけに、流動性の高い日本株は貿易紛争のヘッドラインが出る度に荒っぽい展開となりそうだ。
この日のドル指数(DXY)は0.60%高で終え、95の節目を試す展開。半面、オフショア人民元(CNH)がドルに対して大きく売られた。QUICK FactSet Workstationによれば1㌦=6.73CNH台までドル高CNH安に振れる場面があり、終値では6.72CNH台で2017年8月上旬以来、11カ月ぶりの安値水準となった。米通商代表部(USTR)が10日夕、米国市場の大引け後に追加的な対中関税を課す2000億㌦規模の品目リストを公表したことを受けて、中国当局による元安誘導の思惑からCNHに対する売り仕掛けが活発化しているもようだ。(片平正二)
<オフショア人民元とドル指数(DXY)の2年チャート>
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