ハリケーン「マイケル」が上陸している米国では金融市場も大型ハリケーン並のショックに襲われた。10日の米国市場で恐怖指数のVIXが43.94%高の22.96で終え、投資家心理の不安感を示すとされる20の大台を4月11日以来、6カ月ぶりに上回った。
10年債利回りが3.23%近辺に上昇して金利上昇基調が続く中で株安・リスク・オフのドル安の展開となった。ハリケーン被害の懸念に加え、米百貨店大手のシアーズの破産に向けた準備、(スティーブン・)ムニューシン米財務長官が中国の為替操作の可能性を徹底的に調査する方針を示した点など複合的な要因が重なったとみられる。
S&P500指数は3.28%安で5日続落した。S&P500が5日続落するのは2016年の米大統領選挙直前に9日続落(10月25~11月4日)して以来、1年11カ月ぶりの事となる。この日のNYSE Arcaの売買高ランキングではVIX先物のロング戦略と連動するiPath S&P500VIX短期ETNが2位となり、商いを伴い16.55%高で急伸した。
金利上昇をきっかけに、アマゾン・ドットコムが6.15%安、フェイスブックが4.12%安となるなどFANG銘柄も総崩れとなり、ナスダック指数の下落率は4.08%安で主要指数をアンダーパフォームした。ナスダック版恐怖指数のVXNは27.33で終え、終値ベースで4月3日以来の高水準に達した。
ダウ工業株30種平均が前日比で831ドル安と急落したことについて、(ドナルド・)トランプ米大統領は「FED(米連邦準備理事会)が狂ってしまった。彼らは間違いを犯したと思う。彼らは引き締め過ぎだ」との見解を示した。ペンシルバニアに到着した際の発言を米経済専門チャンネルのCNBCなどが伝えた。(片平正ニ)
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