18~19日に開かれた米連邦公開市場委員会(FOMC)では政策金利の据え置きが決まる一方、声明文や会合後の記者会見でハト派的な姿勢が示された。CMEグループのFedウォッチツールで7月FOMCでの25bp以上の利下げ織り込み度は100%となり、前日(86.4%)からさらに利下げを織り込む動きが強まった。25bpの利下げ織り込み度が67.7%と6割を維持する一方、50bpの利下げ織り込み度が32.3%と前日(17.9%)から増加して3割台に乗せた。
こうなると問題は、もはや、FEDは利下げに踏み切るのかではなく、いつ利下げするのか、さらに言えば7月なのか9月なのか、ということになる。各社の19日付リポートでも読み筋はいろいろだ。
FF金利先物市場などで早期利下げの織り込み度が高まる中、JPモルガンは従来は9月と12月と見込んでいた利下げ時期を7月、9月にそれぞれ前倒しした。その上で「これはバランスシート(B/S)の正常化の終了を早めることにもなる。50bp以上の利下げは我々の基本シナリオにはないが、労働市場の悪化などの証拠が出れば50bp以上の利下げの動機付けとなるだろう」と見込んだ。
ノムラ・セキュリティーズも「当社は今年7月、12月と年2回の利下げを予想するが、7月の利下げの後、8月にB/Sの流出を止めると見込んでいる」と指摘した。7月に利下げが行われた場合、FRBによるB/Sの正常化も修正を余儀なくされるとの見方が増えてきている。
またバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチは「FRBは7月FOMCでの利下げを約束せずに、市場の予想を超えた厄介なメッセージを伝えた。これは9月から合計75bpの利下げを行うという我々の予想と大体一致する」と指摘。その上で「G20サミットや米サプライマネジメント協会(ISM)指数で悪い結果が出るなら、7月に利下げを行う可能性がある。今後2週間はFedが動くかどうかを見極める上で絶対に重要だ」とし、市場環境次第で7月30~31日のFOMCで利下げが行われる可能性があると見込んだ。
さらにUBSは7月にも50bpの利下げを行う可能性があると踏み込んだ。パウエルFRB議長の19日の記者会見で「一時点の経済指標だけで判断するのではなく、トレンドを重視する」と再強調していた点に注目したもよう。今後の経済の潜在成長率が足元の不確実性により予想を下回る可能性があり、インフレ見通しも下方修正される可能性があるとの見方を示している。(片平正二、大野弘貴)
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