QUICKコメントチーム=池谷信久
バンクオブアメリカ・メリルリンチが算出する債券相場の予想変動率を示す「MOVE指数」(グラフ赤)が高止まりしている。債券版の「恐怖指数(VIX指数)」とも言われており、債券市場の不安心理を表す指標とされる。
8月1日にトランプ米大統領が対中制裁関税「第4弾」発動を表明したことでMOVE指数、VIX指数ともに急上昇した。その後、本家のVIX指数(グラフ青)は落ち着いたにもかかわらず、MOVE指数が下がらないのは「トランプ・プット」が一因と言われている。
米中摩擦を背景に株価が下落すると、トランプ大統領は対中強硬姿勢を軟化させる傾向がある。いわゆる「トランプ・プット」だ。加えてFRBに対する金融緩和要請を強めることも多く、株価の下支え要因になっている。
一方、債券市場では既に複数回の利下げを織り込んでいる。政治的プレッシャーによる利下げと、利下げ期待の剥落という両面のリスクを警戒しなければならない。米中貿易交渉の行方が定まるまで、不安定な状態は続きそうだ。
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