QUICKコメントチーム=大野弘貴、写真=Drew Angerer/Getty Images
米市場で短期金利の動揺が続いている。国債などを担保に短期資金を貸し借りするレポ取引は先週17日、レポ金利が一時10%まで急上昇した。
ニューヨーク連銀が同日、レポ市場で資金調達する民間金融機関に、国債などを担保に短期資金を供給する緊急の金融調節に踏み切った。ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は23日の講演で、短期金利が急上昇した要因である米企業の法人税納税や巨額の国債発行などは「事前に認識していた」としつつも、レポ金利の反応の大きさは「経験を超えるものだった」と述べた。ニューヨーク連銀は連日で同市場に資金供給を続けている。また、20日、10月10日まで資金供給を続け、24日からは期間を2週間とする供給も導入することを発表した。
米ファンドストラットは顧客向けリポートで、米シェアオフィス大手のウィーワークを運営するウィーカンパニーが16日に上場延期を発表したことが、レポ市場の混乱を引き起こした一因になったとの見方を示している。
ファンドストラットによると、レポ市場における差入担保は、住宅ローン担保証券(MBS)やモーゲージ担保証券(CMO)が約29%に上り、米国債に次ぐ大きさであるという。また、不動産投資信託(REIT)は、ファンディングの約20%をオーバーナイトのレポ取引に依存しているとのこと。これらの要因は、REITがレポ市場の主要参加者であることを意味しているという。これに加えて、ウィーワークのリース物件は2400万平方フィートに達しており、大手REITの中では最大のテナントとなっているようだ。
ファンドストラットは、民間金融機関の米連邦準備理事会(FRB)に預け入れる準備預金が減少していることや米国債の増加などといった伝統的な要因に加え、ウィーワークの資金繰りを巡る懸念が、レポ市場の混乱に拍車をかけたと指摘している。
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