QUICKコメントチーム=片平正二、岩切清司
世界最大の産油国であるサウジアラビアの石油精製施設が無人機(ドローン)で攻撃されたことを受け、16日の米国市場で、WTI原油先物相場は急伸した。WTI期近の10月限は63.38ドルまで上昇して一時15%超の大幅高となり、清算値は14.67%高の62.90ドルとなった。シカゴ・オプション取引所(CBOE)の原油版恐怖指数(OVX)は36.92%高の48.58で急騰し、一時77.17まで上昇して2018年12月27日以来、8カ月半ぶりの高水準を記録した。
一方、恐怖指数(VIX)は5日ぶりに反発して14.67で終えた。原油先物が急騰する中でリスクオフの流れとなり、ダウ工業株30種平均の下げ幅は一時186ドルに達したが、VIXは投資家心理の不安感を示すとされる20を上回ることはなく、株式市場の反応は比較的落ちついていた様子がうかがえる。
もうひとつ見逃せないのは、ドローン攻撃をうけたサウジアラムコの株式上場の準備への影響だ。
米運用会社カンバーランド・アドバイザーズのチーフ・インベストメント・オフィサーのデビッド・コトック氏は、「今回の一件を踏まえてサウジアラムコの新規株式公開(IPO)の現状を想像してほしい。戦争リスクを価格に織り込ませるのだろうか。そもそもディスクロージャー資料に記載ができるのだろうか。ドローン攻撃は引受会社にとって悪夢となった。IPOは遅れるだろう。我々は米国の石油とガスそして米国の防衛関連をオーバーウエートとしている」と指摘している。
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