セゾン投信とレオス・キャピタルワークス、コモンズ投信の独立系運用会社3社は、9月末までに「共通KPI」を相次いで発表した。各社が直接販売した投資信託の評価損益が3月末時点でプラスだった顧客の割合はいずれも高水準だった。
「共通KPI」は金融機関がどれだけ顧客本位で投信を販売しているかを「見える化」するための指標で、金融庁が投信の販売会社に自主的な公表を求めている。運用損益別の顧客比率は、投信の販売会社における比較可能な「共通KPI」として3つある成果指標のうちの1つ。
含み益だった顧客の比率はセゾン投信が84.9%、レオス・キャピタルワークスが91%、コモンズ投信が97.7%だった。金融庁が銀行29行を対象に実施した調査では含み益が55%程度だったが、独立系運用会社はこれを大きく上回った。ネット証券の4社合算(SBI証券と楽天証券、マネックス証券、カブドットコム証券)の63.8%よりも高かった。
独立系の直販ファンドは運用成績が比較的良好なことに加え、積み立て投資の利用が多いこともあって、含み益の顧客比率が高かったとみられる。共通KPIの対象は3月末時点で顧客が保有している投信に限られ、それまでに売却して利益を確保したり損失が出たりした場合は含まれない。
コモンズ投信の発表資料によると、同社で毎月定額を購入する「つみたてプラン」の利用者は3月末時点で全体の79%にのぼる。直販の年代別口座比率では、6人に1人(16%)が20歳未満。同社では子どもの教育費などを計画的に積み立てる「こどもトラスト(未成年口座)」サービスを提供している。
また、セゾン投信が発表した「口座開設年別損益状況分布」によると、保有期間が長いほど評価損益がプラスの顧客比率が高い傾向がある。2010~12年に口座を開設した顧客はすべて含み益だった。
(QUICK資産運用研究所)