ゆうちょ銀行が不適切な手続きで高齢者に投資信託を販売していたことが判明した。ゆうちょ銀行で過去6カ月に販売金額が多かったファンドを見てみると、ランキング上位には毎月分配型が目立った。どれも規模が比較的大きく、市場全体でも資金流入が続いているファンドだ。
販売金額トップ5のうち、3本は毎月分配金を支払うタイプだった(図表1)。首位は「東京海上・円資産バランスファンド(毎月決算型)<愛称:円奏会>」(4931112B)。このファンドは1カ月と3カ月の販売金額ランキングでもトップだった。バランス型では国内最大規模で、大手証券を含む80社以上で販売している。
3位の「スマート・ファイブ(毎月決算型)」(02312137)は、ゆうちょ銀行のみで販売しているが、過去3年で3000億円近い資金が流入した。4位は国内公募追加型株式投信(ETFを除く)の中で残高が最も大きい「ピクテ・グローバル・インカム株式ファンド(毎月分配型)」(42311052)だった。
この3本に共通するのは、市場全体で毎月分配型の人気が落ち込んだ時期に資金流入傾向が続いた点だ。例えば「スマート・ファイブ」は、過去3年にわたり月次ベースで資金流入超が続いた(図表2-a)。ほかの2本も過去3年の合計は資金流入超だった。
直近の2年あまりは毎月分配型に逆風が吹いた時期で、17年5月以降はずっと資金流出傾向が続いていた(図表2-b)。それまで人気だったのは、主に海外の不動産投資信託(REIT)で運用し、高い分配金を支払うファンド。定期的に現金収入を得たい高齢者を中心にニーズを集めたが、主要ファンドの分配金減額をきっかけに投資マネーが逃げ出した。金融庁が「顧客本位ではない」と問題視したことで、多くの金融機関が販売を手控えた面もある。
そんな逆境下で資金流入傾向を維持した毎月分配型ファンドを支えた要因のひとつがゆうちょ銀行による販売。同行が投信販売の戦略見直しに動けば、これらのファンドを巡る資金の流れにも影響が及びそうだ。
(QUICK資産運用研究所)