アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示す「QUICKコンセンサスDI」(3月末時点)は、金融を含む全産業ベースでプラス5と、前月から11ポイント低下した。足元の円高・ドル安を背景に「輸送用機器」のほか、「建設」などに対する業績の弱気見通しが増加し、DIのプラス幅を縮小させた。
※QUICKコンセンサスDIとは
アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
製造業は9ポイント悪化のプラス12
製造業DIは前月比9ポイント低下のプラス12だった。業種別では輸送用機器や電機に加えて鉄鋼、非鉄金属に対する弱気見通しが増加した。一方、医薬品は業績の上方修正期待が高まった。
非製造業DIは前月比12ポイント悪化し、マイナス3だった。建設や銀行に対する弱気見通しが増えた。
DIがプラス(上方修正銘柄が下方修正銘柄を上回る)だった業種は算出対象の16業種のうち、8業種。マイナス(下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回る)は7業種、変わらずは1業種だった。
エーザイ(4523)が上方修正率トップ
個別銘柄を対象に3カ月前と比較して、予想純利益の修正率が大きかった銘柄を調べた。上方修正率が最も大きかった銘柄はエーザイ(4523)だった。同社は3月8日、2018年3月期の連結純利益(国際会計基準)を前期比40%増の550億円と、従来予想の398億円から大幅に引き上げた。米製薬大手メルク社と抗がん剤の開発で提携、これに伴う契約一時金が利益を押し上げるようだ。
半面、下方修正率が最も大きかったのは、LINE(3938)だった。同社はフィンテックや人工知能(AI)などの新規事業に積極投資する見込みだが、足元では収益の押し下げ要因とみられている。2018年はIT(情報技術)と金融を融合させるフィンテック分野に計150億円を投資する計画だ。3月28日には野村ホールディングス(8604)と、証券事業を手掛ける共同出資会社を設立すると発表した。