先が見えない米中貿易問題などの影響で企業業績の見通しが再び悪化している。アナリストによる主要企業の業績予想の変化を示すQUICKコンセンサスDI(5月末)は、金融を含む全産業ベースでマイナス39と、前月(マイナス35)から4ポイント悪化した。2011年5月(マイナス42)以来の低水準だ。内訳は「強気」が32銘柄(全体の10%)、「変化なし」が131銘柄、「弱気」が159銘柄(全体の49%)だった。製造業はマイナス54(前月はマイナス55)と依然低調で、非製造業もマイナス22と前月(マイナス12)から10ポイント悪化した。
QUICKコンセンサスDIは、アナリストが予想連結純利益を3カ月前時点に比べて3%以上、上方修正した銘柄を「強気」、下方修正した銘柄を「弱気」と定義し、「強気」銘柄が全体に占める比率から「弱気」銘柄の比率を差し引いて算出する。DIがマイナスなら、下方修正銘柄が上方修正銘柄を上回っていることを意味している。5社以上のアナリストが予想している銘柄が対象で、主要企業の業績に対する市場全体の期待値が上向きか、下向きかが分かる。
業種別でみると算出対象の16業種のうち、DIがプラスだったのは0(ゼロ)。マイナスは14業種で、「輸送用機器」がマイナス94と、2016年5月以来の低水準だった。「医薬品」は前月のプラス18から一転し、マイナス19となった。変わらずは2業種だった。
3カ月前の予想純利益と比較した下方修正率の1位はルネサスエレクトロニクス(6723)。5月14日に発表した2019年1~3月期の決算で最終損益は18億円の赤字(前年同期は186億円の黒字)だった。米中摩擦の激化で世界的に半導体の需要が減速するなか、主力の自動車や産業機器向けの半導体の収益が減少した。2位には日産自動車(7201)、3位にはGunosy(6047)、4位には三菱自動車工業(7211)と続いた。
一方、上方修正率では予想純利益が2月末の101億5000万円から148億8000万円へ引き上げられた北陸電(9505)が1位だった。4月25日に発表した2019年3月期の決算では電気料金引き上げなどで3期ぶりに最終黒字に転換。20年3月期の純利益は未定だが、売上高は前期比1.1%増の6300億円を見込む。
(ナレッジ開発本部)