QUICKコメントチーム=片平正二
22日の米国市場で電気自動車(EV)大手のテスラが急反落し、6.14%安の333.04ドルで終えた。21日遅くに新型多目的スポーツ車(SUV)の「サイバートラック」を発表した。サイバーパンク映画「ブレードランナー」のような世界観を意識したデザインで、その発表会では強化ガラスの強さを示そうとして鉄球を投げたらヒビが入るトラブルがあり、イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)は「貫通しなかったのは良かった、改善の余地がある」と述べた。品質に対する警戒感から、翌日の株式市場ではテスラ株に売りが殺到した。
カウエンは22日付のリポートで「この車はニッチであり、主流製品ではないとみられる。ブレードランナーにインスパイアされたデザインは、最も物議を醸している」と指摘。その上で「廉価版EVのモデル3の3万5000ドルが実現しなかったように、基本価格の3万9900ドルは実現しそうにない」と述べ、収益源としての期待値は低いとみていた。
ただその後の24日、マスクCEOはツイッターで「サイバートラックに14万6000台の予約が入った。うち42%が(2つのモーターを搭載する四輪駆動の)デュアル、41%が(3つのモーターを搭載する四輪駆動の)トライ、17%が(1個のモーターの二輪駆動の)シングルでした」とつぶやいた。波乱のデビューとなったサイバートラックだったが、顧客の需要はそれなりにあるとみられ、株価の再加速が期待されそうだ。
マスクCEOは、ツイッター投稿や情報開示などを巡って何かとお騒がせの「前科」がある。今回の窓ガラス割れという失態で投資家や株式市場との関係にこれ以上ヒビが入らないように、と祈っているかもしれない。
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