今回は10月26日に開催されたSBIアートオークションのHarajukuオークションから、落書きをストリートアートと呼ばれる美術様式として世界に認めさせた、アメリカの伝説的なアーティスト、キース・へリング(1958~1990)を紹介する。
キース・へリングの作品は、ファッションブランドのデザインにも影響を与え、様々なブランドとコラボレーションしたアイテムを発表している。シンプルなラインと明度が高い鮮やかな色彩で構成された作品は、雑誌や広告などのメディア媒体で使われることも多い。アーティスト名こそ知らずとも、その作品を一度は目にしたことがある人も多いだろう。
本セールでは、2点の版画作品が出品された。「Dog」は、115.5cm✕89.2cmのモノクロームのリトグラフ作品で、落札予想価格400万~600万円のところ632万5000円(落札手数料を含む、税抜き、以下同じ)で落札された。また「Lucky Strike」は、29.5cm✕20.7cmのカラフルなシルクスクリーン作品で、落札予想価格80万~120万円のところ、138万円で落札されている。
「Lucky Strike」(3号)とサイズが近い8号以下のへリングの版画作品を抽出分析したACF美術品パフォーマンス指標を見てみると、2018年に落札価格の平均が約80万円まで下落するが、各年ともに落札予想価格を下回ることなく推移し安定したパフォーマンスを示している。セールにかけられた2作品も落札予想価格の上限を上回る価格で落札された。
本オークションは、原宿を拠点に様々なクリエイティブ事業を展開している en one tokyo(東京・渋谷)との共催で昨年11月に続き2回目。原宿カルチャーに焦点を当て、ストリートカルチャーから音楽、デザイン、ポップアート、現代アートを代表する作家の作品まで、幅広いジャンルの作品を多数取り揃えた。
国内外作家80名(多作家出品は1名でカウント)の209作品がセールにかけられ、落札総額は4億4695万9000円。落札点数191、落札率は91.4%に達し、非常に活況なセール結果となった。
最高額で落札されたのは、KAWS(カウズ)のアクリル、キャンバス、2点組のオリジナル作品「KIMPSONS SERIES(TWO WORKS)」で、落札予想価格1800万~2800万円のところ、7245万円で落札された。この作品は今回のオークションの案内状のメイン作品にも選ばれており、案内状を手にした人にとっては早くから印象に残る作品となっていた。KAWSの作品は、技法も様々で、今回は40点近い作品がセールにかけられた。その多くの作品は、落札予想価格の上限を超えて落札され、人気の高さがうかがえた。
※参考記事:2018/11/29【Art Market Review】目が✖✖でお馴染みのKAWS、人気は◎◎
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SBIアートオークションの次回開催予定は2020年2月1日