東京代官山にあるヒルサイドフォーラムで7月6日(土)・7日(日)の2日間に渡り、SBIアートオークションが開催された。本セールでは、戦後美術から最先端のコンテンポラリー作品まで、国内外のマーケットで注目されている作家159名(他作家・共作出品は1名でカウント)、290点の作品が出品された。その落札総額は8億9039万3250円(落札手数料含む・以下同)、落札率は94.5%を記録し、活気のあるセールとなった。
予想価格の6倍近くで落札も
1日目は、既に評価が確立されている作家のオリジナル作品を中心に、落札予想価格平均280~460万円程度の作品が165点出品された。マルチプル作品、立体作品はもちろん、セール序盤には、写真作品を集めたセクションがあるなど多様な作品種で構成された見応えのあるセールだった。単日の落札総額は8億2441万2000円、落札率は95.2%の高記録を達成している。高額落札には、草間彌生、奈良美智、キース・へリング、KYNEなどが名を連ね、いずれも落札予想価格上限近辺で順当に落札されていた。大きな競り上がりをみせたのは、セール後半に出品された劉鋒植(リュウ・フォンジー)のLOT.128《作品》(アクリル・キャンバス、60.0 × 50.0 cm)。落札予想価格上限の6倍近くの伸びをみせ、注目を集めた。落札予想価格50~80万円のところ、529万円で落札されている。
2日目は、セカンダリーマーケットではまだフレッシュな顔ぶれとなる作家の作品を中心に、落札予想価格29~45万円程度の作品が251点出品された。単日の落札総額は、1億3573万4500円、落札率は87.3%を記録した。この日、トップロットを飾った作品は、『ポケモン』誕生25周年を記念し、バカラとフラグメントデザインによるコラボレーションで制作された作品《PIKACHU FRAGMENT》。高さ約30cm、重さ8.3kgサイズのピカチュウを模したクリスタルの作品は、落札予想価格180~280万円のところ、落札予想価格内の264万5000円で落札されている。
山本麻友香、アジアを中心に海外でも活躍
今回は、先に紹介した劉鋒植に次いで大幅な伸びを見せ注目を集めた作家、山本麻友香(やまもと・まゆか、1964‐)にスポットを当てる。山本は、岡山県出身のアーティストで、武蔵野美術大学大学院修了後、文化庁芸術家在外研究員としてイギリスに滞在していた経歴を持つ。動物を身に纏った少年をモチーフに独自の世界観を描き、多くのコレクターを魅了している。国内だけでなくアジアのマーケットを中心に海外でも流通が見られ、近年、活躍が目立つ作家の一人である。
本セールでは、1日目の後半にペンギンの被り物をした少年を描いたLOT.114《Penguin Boy》(油彩・キャンバス、60.6×45.5㎝)1点の出品があった。落札予想価格100~150万円のところ、609万5000円で落札されている。出品作品と近似サイズとなる8~12号の油彩・キャンバス作品の落札情報を抽出したACF指標から動向をみる。2018年では落札予想価格平均15~25万円に対し、落札予想価格内の18万4000円で落札されている。以降、落札予想価格、落札価格ともに右肩上がりに上昇する。2022年では、落札予想価格平均55~75万円に対し、400万円程度で落札と高騰傾向が見られる。他のサイズの落札データにおいても、2021年あたりから徐々に評価を高めてきていることがわかる。そして、2024年、今回のセールでも更に上昇を見せ、好調な結果を残している。まだ相場が急騰して間も無い為、この上昇基調が継続するという見方には注意が必要だが、変わらぬ好調に期待は高まる。
(月1回配信します)
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※次回のSBIアートオークション開催予定は9月13日・14日
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