QUICK資産運用研究所=小松めぐみ
お金のデザイン(東京・港)の子会社である400F(※)が2018年11月に「お金の健康診断」の提供を開始してから1年。お金の悩みを気軽にオンライン上でプロに無料相談できるこのサービスの利用者は2万人を突破した。相談を受ける専門家の登録者数も増え続けている。400Fの中村仁CEO(最高経営責任者)と加々美文康COO(最高執行責任者)に話を聞いた。
――「お金の健康診断」の基本的なサービスを教えてください。
中村氏「ユーザーがオンライン上で性別や貯金額などいくつか簡単な質問に答えると、自分と似たような年代や家族構成の人たちの平均と自身の現状を比べることができます。いわば『隣の家計簿』と比べることで、お金に対する漠然とした不安や悩みを浮き彫りにする仕組みです」
「そのうえで、『家計改善』や『老後資金』といった複数のカテゴリの中から気になっていることを1つ選ぶと、ユーザーに合ったお金のプロが表示されます。そこで会員登録をすれば専門家にチャットをしたり、必要に応じて直接会ったりして自由に相談ができます」
「オンライン上のチャットはすべて無料です。直接会って相談する際は専門家ごとに料金体系が異なります。実際に契約するまで無料の専門家もいれば、対面での相談時間に応じて料金が発生する場合もあります」
――ユーザーと専門家をどうやってマッチングするのですか。
中村氏「相談を受ける側で登録しているのは、FP(ファイナンシャルプランナー)やIFA(独立系金融アドバイザー)の方をはじめ、保険代理店や地方銀行などの専門家です。その中からユーザーが実際に会える距離にいる人、相談したい内容に回答できる人などを総合的に判断しています」
加々美氏「ユーザーが専門家を選ぶこともできます。まだテスト段階ですが、今後はユーザーが任意で専門家を5段階で評価し、専門家がプロフィールとともに自身の評価を公表できるようにする予定です(2020年3月中リリース予定)。ユーザーはそれを参考にして専門家を選べるようになります」
――イベントで相談ブースを設けるなどオフラインの活動もされています。
中村氏「サービスの入り口はオンラインにとどまらないと考えています。お金に関するイベントやセミナーなどに『お金の健康診断』が体験できるブースを設けて、参加者が専門家に会える場を作ってきました。実際に専門家と話してみて、もっと相談したいと思えばあとからオンライン上でチャットもできるし、再び対面で会うこともできる。オフラインとオンライン双方で顧客と接点を持つことは今後の金融サービスの1つの在り方になっていくと思います」
――リリースから1年たって利用状況は。
加々美氏「想定よりも利用者数が伸びています。最初はメインターゲットにしていた20~30代の女性が中心でしたが、現在は30~40代の方の利用が目立ちます。男女比も半々になってきました。『老後資金2000万円問題』の影響も大きく、サイトへのアクセス数も増えました」
――今後の取り組みを教えてください。
中村氏「地方の専門家を増やしていく予定です。地域金融機関にとってこのサービスは資産形成層との接点づくりになりますし、職域営業にも有効だと考えています。また、専門家が営業活動の質を高める支援をしていきます。そのためにも相談内容やそれに対するアドバイスなど一連の流れをデータで蓄積できるプラットフォームをつくり、より最適なアドバイスができる仕組みを整えます」
(※)株式会社400F(フォーハンドレッド・エフ)
ロボアドバイザー(ロボアド)などを手掛ける株式会社お金のデザイン(東京・港)の事業子会社。「お金の健康診断」は、お金のデザインのロボアド「THEO」とは一切関係なく独立したもの。