金融相談サービスを手掛ける400F(フォーハンドレッド・エフ、東京・港)は24日、お金に関する無料オンラインチャット相談プラットフォーム「お金の健康診断」提供開始2周年を受けたオンラインイベントを開催した。同社の中村仁代表取締役社長がスピーカー役を務め、2周年の軌跡や成長戦略について語った。
■「お金の健康診断」ユーザー数8万人超
400Fが提供する「お金の健康診断」は、スマートフォン(スマホ)で家族構成や年収などを入力すると、同地域・同世代と比較した自身の資産状態を確認することができる。そして、お金に関する悩みを抱えるユーザーの状態にあわせ、ファイナンシャルプランナー(FP)などの金融専門家とチャットで気軽に相談できるサービスだ。
「お金の健康診断」の診断を受けたユーザー数は8万6000人を超えており、実際にチャットで相談したユーザーは1万人超に達する。相談者は独身者や夫婦(子あり、子なし含む)世帯が多く、シニア層は少ないのが特徴という。
10月にはユーザーが会員登録するとプランナー側からアドバイスがチャットで届くように仕様が変更され、ユーザー側は良いアドバイスをしてくれたプランナーを選べるようになった。プランナー側も自身の得意分野や世代を選んでアプローチすることが可能となるため、より効率的に顧客とつながることができる。
中村社長は「相談内容は(ネット検索などで)調べられる内容も多いが、何が(具体的なアドバイスとして)いいかは検索だけでは分からない」と指摘。そのうえで「ユーザーが様々な相談先につながるプラットフォームにすることで、良質なプランナーから適切なアドバイスを得られる未来にしていきたい」と述べ、「お金の健康診断」のサービスをさらに洗練していく考えを示した。
■包括的な提案につながるプラットフォームに
今後の成長戦略として、中村社長は「あらゆるチャネルでユーザーの課題解決を行っていく」として、金融サービス仲介業を視野に入れて活動していく方針を示した。
10月には、個人向け融資仲介サービスを手掛けるクラウドローン(東京・新宿)、住宅ローン仲介のMFS(同・千代田)と事業提携した。提携により、ローン金利見直しによる家計改善を促す。また、転職などキャリア相談を手掛けるポジウィル(同・港)とも提携し、キャリアプランの見直しなどを手掛けるサービスを展開する考え。中村社長は「家計の支出削減と収入アップを包括的に提案できるプラットフォームをつくっていきたい」と意気込んだ。
イベント当日の24日には新たな資金調達の実施を発表した。ベンチャーキャピタル(VC)でドリームインキュベーター(DI、4310)傘下のDIMENSION(東京・千代田)やGO FUND(同・港)、ポンタを運営するロイヤルマーケティング(同・渋谷)などから2億円を調達した。調達資金で積極的なマーケティング活動に取り組み、事業拡大を目指す。
400Fは、ロボアドバイザー「THEO」を提供するお金のデザイン(東京・港)の100%子会社として2017年に設立。その後MBO(経営陣が参加する買収)を実施し、20年8月にお金のデザインから独立し、新たなスタートを切った。独立直後の10月には事業拡大に向けてグッドパッチ(7351)やマネーフォワード(3994)などから出資を受けた。一般社団法人Fintech協会が11月に開催した「FINTECH JAPAN 2020」のスタートアップのピットバトル(プレゼン大会)では2位を受賞した。
(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)