QUICK Market Eyes=丹下智博
1月末(1月30日、31日、2月3日)に続き、日本の祝日前にあたる10日の米債市場でも「逆イールド」が発生した。3カ月物の財務省短期証券の利回りが10年債利回りを下回った。新型コロナウイルスによる肺炎の死者数が週末にSARS(2002~03年)の死者数を上回ったことで、リスク回避の米債買いが継続し、米10年債利回りが1.5%台前半へと低下したことによる。世界景気への下押し懸念がさらに強まるようだと、11年目に入っている米経済の拡大がピークアウトし減速に向かう可能性も意識されることになりそうだ。
■米求人数は2カ月連続で減少、2年ぶりの低水準に
気になる米経済指標も発表された。11日に発表された2019年12月の米雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人数(季節調整済み、速報値)は前月比36万4000件減の642万3000件とQUICK FactSet Workstationによる市場予想(688万8000件)を下回った。2カ月連続の減少で、2017年12月以来2年ぶりの低水準となった。
求人件数はなおも高水準にはあるが、19年末終盤に急速に減少したことから、「11年目に入っている米国の経済拡大がピークアウトする可能性に対する警告かもしれない」との慎重な見方もあるようだ。