QUICK Market Eyes=池谷信久
米連邦準備理事会(FRB)は2019年9月に起きた短期市場の混乱に対応して、短期国債の買い入れなどで資金供給を増やしてきた。バランスシート拡大は短期金利の安定とともに、「実質的な量的緩和」として株価上昇の一因にもなってきた。
ただ、ここへきてFRBはレポ取引のオペレーションによる資金供給を減らし始めた。また、パウエル議長は短期国債の購入を7月にも縮小する意向を示している。
資金供給の縮小は通常であれば、米金利の上昇要因となり日本の長期金利にも上昇圧力がかかる。しかし、市場では「ドルの需給が引き締まることで為替ヘッジコストが上昇し、内外投資家の円債回帰につながる」(ストラテジスト)との見方が増えている。また、バランスシート縮小が株価上昇を抑制すれば、金利低下が加速する可能性もある。
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