QUICK資産運用研究所=西本ゆき
農林中金バリューインベストメンツ(NVIC)は20日夜、「幸せになるお金の法則」と題したイベントを開催した。参加者は日経WOMANのメールマガジンなどを通じて集まった女性10名あまり。NVICの常務取締役で最高投資責任者(CIO)の奥野一成氏と、山口大学国際総合科学部教授で哲学者の小川仁志氏が登壇し、お金や投資について哲学の視点を交えて議論した。
■どうしてお金を貯めるの? 「目的」か「手段」か
「お金とは心と価値をつなぐ橋である」――。貨幣が最終的な価値への橋渡しにすぎないと説いたのは、ドイツの哲学者ジンメル。小川氏はこの言葉を借りて、お金を貯めることが目的なのか手段なのかを参加者に問いかけた。
奥野氏が紹介したのは、著名投資家ウォーレン・バフェット氏の言葉。「価格は他人が決めるもので、価値は自分が決めるもの」。他人の評価に振り回されない精神的自立の重要性を説き、お金とは提供してもらった価値に対する「感謝のしるし」であり、汚いものではないと語った。
■「財産への道」と「徳への道」は一致
奥野氏は、「投資には世界をより良くする力がある」と指摘。「投資をして企業のオーナーになることで、その企業が社会により良いサービスを提供できたなら、巡り巡って社会に貢献していることになる」と解説した。
これに同意した小川氏が紹介したのは、「財産への道と徳への道はほとんど同一である」と唱えた経済学者アダム・スミスの言葉。利他の心をもって社会に働きかけることで、結果的に自分に還元されると説明し、「財産と徳の道を一致させることが重要だ」と指摘した。
■幸せに向け、踏み出す一歩を
幸せとは何かという議論では、「幸福論」の著者である哲学者ラッセルについて小川氏が触れつつ、「幸福になるためには、興味や関心を広げることが大切だ」と説いた。興味が複数あることがリスクヘッジにつながるし、自分の興味や関心がどこにあるのかも実際にやってみないと分からない。幸せに向けて一歩踏み出すことの有効性を唱えた。
奥野氏も多くのことに興味・関心を持つことが未来の幸せや成功につながるとし、「今をときめく企業のイノベーションでさえ、直線的な成功ではなく様々な方向に迷走した試行錯誤の結果だ」と付け加えた。
今回のイベントは、NVICが個人向けに開いている「長期投資の学び場」の第2弾。初回は1月に「子供と考えるお年玉の使い方」をテーマに開催した。今後もこのようなイベントを順次企画していく予定だ。