3月以降、新型コロナウイルスの猛威が加速した。日本国内でも東京を中心に感染拡大が続き、都は都民に初めて週末の外出自粛を要請した。個人消費の一段の落ち込みに警戒感が広がるが、小売企業の一部で3月の月次動向にその影響が鮮明となって現れてきた。
■売り上げ3割減
衣料雑貨専門店を手掛けるパレモ・HD(2778)が26日に発表した3月の月次動向は背筋が凍るような結果だった。全店売上高は24.5%減、既存店売上高は33.0%減。同社は発表資料で以下のように説明している。
「営業の状況は、新型コロナウイルス感染症の拡大にともない、政府による不 要不急の外出や大規模イベントの開催自粛要請もあり、当社店舗が出店するショッピングセンターの客数が大幅に減少し、苦戦が続く結果となりました。また、学校行事の開催や海外への渡航も控える動きが広がったことで、この時期 の主力商品であるセレモニー関連の商品やキャリーバッグなどのトラベル関連商品の販売が大きく落ち込み、苦戦する要因となりました」
似たような影響を受けたのはしまむら(8227)も同じ。23日に発表した3月の月次動向では全店売上高が11.8%減、既存店売上高は12.1%減となった。同社は資料で「当月度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い消費者が外出を控えたことで客数が減少し、売上は前年実績を下回りました。 週別売上では3月2日週に大きく落ち込みましたが、その後は回復基調にあります。ベビー・子供衣料は春物トレンド商品や紙おむつ、おしりふきなどの衛生雑貨が好調だった一方、高齢者の外出控えや卒業式の開催自粛等の影響でミセス・シニア向けジャケットや婦人スーツの販売が伸び悩みました」と説明している。パレモのセレモニー関連の不振とも重なる。
■影響軽微
今のところ新型コロナの影響が軽微な小売りもある。代表例がニトリホールディングス(9843)。3月の全店売上高(前年比)は、全店売上高は14.0%増、既存店売上高は10.9%増となった。新生活で家具や家電、生活用品の買い需要が高まりやすい時期だったことも奏功したほか、販促キャンペーンも寄与した。SMBC日興証券では24日付リポートで、販売面での影響は軽微な上、新型コロナウイルスによる商品調達面の懸念もなさそうと指摘。商品開発や在庫管理などのオペレーション面、販促対応の精度の高さなど総合的にみても安心感があるとみているもよう。
■子供用品はコロナ警戒消費が先行
西松屋チェ(7545)は23日、3月の全店売上高(前年比)などを発表した。全店売上高は19.8%増、既存店売上高は21.3%増となった。同社は資料で「当月は、紙おむつやウェットナップなど消耗品の需要が増加したほか、子供玩具など室内で使用する商品の売上高が好調」と説明している。ネガティブな影響が大きかった前出のしまむらも子供関連は好調としており、ママたちのコロナ警戒モードが浮かび上がる。
■感染予防消費という追い風
新型コロナの感染拡大が加速したことで衛生用品への需要が強まった。この影響はドラッグストアの月次売上高に見て取れる。クスリのアオキ(3549)は3月の全店売上高が30.0%増、既存店売上高は17.2%増となった。新型コロナウイルスの感染拡大でマスクやトイレットペーパーなどの需要が増加し、売り上げ増加に寄与した。4月も強いマスク需要が継続しそうだが、供給不足というボトルネックが影を落とす。