ディップ(2379)は4月7日、定時株主総会の議決権基準日を4月30日に変更すると発表した。通常は2月末日。新型コロナウイルス問題を受けて、5月下旬に予定していた「第 23 期定時株主総会」の開催を延期したため。新型コロナウイルス問題で定時株主総会の議決権基準日を変更した企業は、東京証券取引所の適時開示情報をさかのぼる限りでは初となる。
新しく決議した定時株主総会の開催予定日は7月29日。配当金の基準日については取締役会決議に基づき従来通りの2月末日として発表した。
東証は3月24日、新型コロナウイルスの影響で配当等の基準日が事業年度末から変更となる可能性について投資家に注意を呼びかけた。法務省は通常時期に総会を開くことが難しくなった場合、新型コロナの収束後に開けば問題ないとの見解を示しており、その場合は改めて基準日を設定することになるためだ。企業が新たに基準日を定めると、期末に保有しても従来のように配当の権利や議決権が得られないため、市場に困惑が広がっていた。なお、経済産業省は4月2日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、株主総会の会場に入る株主の人数を制限できるとの見解をまとめた。事前の議決権行使の案内やインターネット経由で出席扱いとなる環境を用意すれば、事実上のオンライン総会の開催が可能となる。
また、アクロディア(3823)は同日、株主優待の発送時期の延期を発表した。配当や優待、議決権など、株主としての権利を求めて投資する投資家にとっては、今後、企業がどのような開示をするか注意が必要となる。