QUICK Market Eyes=片平正二
安倍首相が7日、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大を受けて東京・大阪など7都府県を対象に緊急事態宣言を出した。欧米などと異なって都市封鎖(ロックダウン)が行われないものの、市場では景気減速は避けられないとの見方が大勢だ。
証券各社の主な見解は下記の通り。
●4~6月期GDP予測をマイナス25%に下方修正=ゴールドマン
●日本株のみ下落トレンドに入る蓋然性は低い=SMBC日興
●医療機器銘柄への注目ポイント=モルガン
●物色対象は成長株や優良株が中心か=大和証券
SMBC日興証券のリポートでは、欧米のロックダウンと大きく異なる反面、日本人独特の集団性を重んじるメンタリティを考えれば、「ロックダウンに近い効果が発揮されるだろう」としてマクロ経済が急速に落ち込む公算が大きいと指摘。ただ「緊急事態宣言によって日本株のみ下落トレンドに入る蓋然性は低い」とも指摘した。他国におけるロックダウンのインプリケーションが既に判明しており、「ロックダウン直後に株式市場は底入れ」という傾向がみられたとのこと。また「日本株は国内より、グローバルの感染動向により影響を受けている」とし、「欧米で感染が急増したからこそ日本株は下落し、イタリア、続いてニューヨークで感染鈍化が始まったことに伴い反発した」ことを踏まえつつ、「実際、安倍首相が緊急事態宣言を決断したと伝わった6日、日本株は欧米の感染鈍化を重視し大幅上昇した」ことに着目した。
■ポジション整理も一巡感
東証の空売り比率は3日連続で縮小し、7日時点で44.1%と3月末(42.8%)以来の水準まで縮小した。市場からは「緊急事態宣言が出たらポジションコントロールができないかも? 不意なリコールが出たら借株も危険だし、宵越しのポジションを持つのは危険。ポジションは持ちたくないっす。不要不急のショートはしても良いけど、引けで買い戻せば日中はOK!」(市場筋)との見方が出ており、発令前に空売りが減るのは当然との指摘が出ている。
■REIT、NT倍率も落ち着く
東証REIT指数が急伸する一方でNT倍率は横ばいとなり、4月に入ってからは3月末にかけてのポジションのアンワインドとみられる市場の急変が落ち着いており、緊急事態宣言が出たからと言って過度に日本株が弱含む事態は避けられそう。日本国内もさることながら、米国など海外の新型コロナ関連のヘッドラインに左右される展開を見込みたい。
<関連記事>
■ディップが議決権の基準日変更を発表 アクロディアは優待発送を延期