QUICK企業価値研究所アナリスト 山藤秀明(2020/05/20)
・新型コロナの影響軽微で今期は1%営業増益予想
20/3期の営業利益は前期比1%増の1兆252億円になった。通信事業での料金値下げの影響はあったが、端末機の値引き販売抑制や法人事業が好調で小幅ながら最高益を更新した。
企業価値研究所は今21/3期の営業利益について前期比1%増の1兆385億円を予想する。料金値下げの影響は継続するが、非通信分野(コンテンツ配信、決済・金融、電力小売等)の拡大、法人事業の成長で小幅増益を予想。新型コロナウイルスによる減益要因は小さいとみている。来22/3期の営業利益は同4%増の1兆780億円の予想。通信事業の成熟化や料金競合などはあるが、注力する非通信分野、そしてデータセンター運営を中核とした法人向け事業がともに成長し、緩やかながらも最高益更新が続くとみている。
・「通信とライフデザインの融合」を進める
昨年5月に公表した中期経営計画では通信との融和性が高いネット通販や金融などのライフデザイン事業の拡大を進める。5G(第5世代移動通信)での新規事業創出も図る。
・リスクファクター ~料金値下げ、解約率上昇
・アナリストの投資判断 ~安定的な業績拡大、割安な株価指標で底堅い株価推移見込む
株価は今年2月に上場来高値を付け、その後も株式相場が急落するなかで底堅く推移。足元の株価は当研究所予想の今期PERは12倍で過去5年平均の13倍に比べて幾分割安。会社計画の今期配当利回りも3.7%と過去5年平均の3.1%と比べて高い。株式相場は再度の下落リスクはあるが、安定的な業績拡大、割安な株価指標から当面の株価は底堅い動きが続くとみている。
(提供:QUICK企業価値研究所)
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