日経QUICKニュース(NQN)=西野瑞希
中南米経済の先行きに暗雲が漂っている。新型コロナウイルスの感染封じ込めに苦戦しつつ、共生を迫られる「ウィズコロナ」への道筋がみえず、メキシコペソやブラジルレアルといった中南米通貨の上値を阻む。
■メキシコペソやブラジルレアルは依然低迷
25日の外国為替市場ではメキシコペソが1ドル=22ペソ台後半、ブラジルレアルが1ドル=5.5レアル台前半で取引されている。産油国であるメキシコやブラジルの通貨は、このところの原油相場の反発が一定の支えとなり5月に入ってからは底離れの気配もみえる。だが、それぞれ19ペソ台後半、4.5レアル前後にあった2月末時点と比べると、依然として大幅に下回る水準に低迷している。
■「売り圧力が高いままとなりそうだ」
メキシコでは23日、新規感染者数が6300人近くにのぼり、1日あたりの増加数はいまだに過去最多を更新している。ブラジルも感染者が急増しており、米政権は24日、ブラジルに過去14日間以内に滞在した外国人の入国を禁止すると発表した。
米国のサプライチェーン(供給網)に組み込まれるメキシコは、米国の求めもあって見切り発車的に経済活動の再開に動き出す。メキシコ政府は自動車産業など特定の重要産業をロックダウン(封鎖)の対象から外す方針だ。
生産再開は輸出の増加を通じて経済を支える側面もあるが「感染拡大の勢いを考えるとメキシコペソは対主要通貨で売り圧力が高いままとなりそうだ」(SMBC日興証券の平山広太氏)とみられている。経済の早期再開と感染抑制はトレードオフの関係にある。米国で働くメキシコ人の失業増加で、本国送金が細るのも響く。
原油の反発が一定の支えになるブラジルレアルを巡っても「感染状況や経済の行方が不透明でまだ強気にはなりきれない」(野村証券の中島将行氏)との声があった。
■新型コロナで深刻な打撃を受ける国・地域は?
中南米は債務問題も悩ましい。アルゼンチンは22日、5億ドル規模の国債の利払いを行わず形式的なデフォルト(債務不履行)状態となった。大手格付け会社が相次ぎ国債の格下げに動くメキシコにとっても気がかりだ。
QUICKが25日に公表した5月の月次調査(外為)によると、新型コロナで経済が最も深刻な打撃を受ける国・地域はどこかとの質問に対し、86人のうちの50%が「経済が脆弱な中南米やアジアなどの新興国」と回答した。
「感染地域が欧米からブラジル、ロシア、トルコ、インドなどの新興国に移行しており、打撃は深刻」「グローバルマネーは脱新興国が顕著となっていく。お金の源泉は先進国であり、自国回帰がこの先も続きそう」とのコメントもあった。新型コロナとの共生を迫られる中南米の通貨は、安値圏での停滞が長引きかねない。
<関連記事>
■世界景気「U字型回復」47% 新興国経済には警戒感 QUICK調査
■ブラジル関連投信、コロナ響き運用悪化 通貨レアルは最安値圏