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息吹き返すソフトバンクG 出資先IPOなど朗報相次ぐ 

記事公開日 2020/7/21 18:04 最終更新日 2020/7/21 19:00 アリババ 日本株 新規株式公開 IPO NQNセレクト

ソフトバンクグループ(SBG、9984)が息を吹き返している。出資先や「出資先の出資先」で新規株式公開(IPO)の朗報が目立ってきた。傘下の「ビジョン・ファンド」を巡っては運用の悪化が指摘されていたが、足元ではIPOが勢いを取り戻している。信用取引の売り残が膨れ上がるなど、先行き悪化を疑わない投資家が少なくない半面、IPOを材料に買い戻しに迫られる投資家も多い。

■相次ぐIPO発表

中国ネット大手のアリババ集団傘下の金融会社で、スマートフォン決済「支付宝(アリペイ)」などを手掛けるアント・グループが7月20日、新規株式公開(IPO)を計画していると発表した。アリババにはSBGが約25%出資している。アリババの企業価値の向上を通じてSBGにもプラスに働く可能性がある。

さらに同日、同じくSBGが出資する中国配車アプリ最大手の滴滴出行(ディディ)が早ければ年内にも香港取引所に上場することを検討しているとも報じられた。

SBG株は21日、前日比3.4%高の6488円まで上昇した。終値も3.1%高の6464円だ。

SBGの株価

一方で信用売り残(10日時点)が1035万株と高水準だ。投資家は米シェアオフィス「ウィーワーク」の運営会社ウィーカンパニーの巨額損失の苦い記憶が鮮明で、売りに傾きがちだ。だがIPO関連の動きが買い材料視されることで損失覚悟の買い戻しを迫られる局面も度々訪れている。上場した米抗がん剤開発のリレー・セラピューティクスや米保険スタートアップのレモネードはいずれも公開価格を大幅に上回り、SBG株を押し上げた。

SBGの売買高に占める空売りの内訳

▼7月に入り、SBG出資先が勢いづいている(出資先の出資先も含む)

銘柄名 報道内容
レモネード  米保険スタートアップ 2日に上場
貝殻找房           中国不動産仲介  IPO報道(9日)
ウィーカンパニー       「キャッシュフローの黒字化を1年前倒し」との報道(12日)
リレー・セラピューティクス  米抗がん剤開発 16日に米ナスダック上場
アント・グループ       中国スマホ決済 IPOを計画と発表(20日)
滴滴出行           中国配車アプリ 年内にも香港取引所に上場と報道(20日)

〔日経QUICKニュース(NQN)秋山文人〕

<金融用語>

IPOとは

Initial Public Offeringの略。一般的には、(新規)株式公開とも言われる。少数株主に限定されている未上場会社の株式証券取引所株式市場)に上場し、株主数を拡大させて、株式市場での売買を可能にする。 新たに株券を発行して株式市場から資金を調達する公募増資」や、以前から株主に保有されていた株式を市場に放出する「売出し」がある。 上場した企業は株式市場からの資金調達が可能になり、会社の知名度の向上によって、優秀な人材の確保が可能になるなどのメリットがある。一方で、投資家保護の観点から定期的な企業情報の開示(ディスクロージャー)が義務付けられる。

著者名

日経QUICKニュース(NQN) 秋山 文人


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