長期国債の利回り予想が上向いてきた。QUICKが3日に発表したQUICK月次調査<債券>では、新発10年物国債の利回り予想が前月と比べて上方修正された。足元では新型コロナウイルス感染が再拡大するものの、市場関係者の多くは景気への影響は軽微とみており、景気が緩やかに回復するシナリオを予測しているようだ。
調査に回答した債券市場関係者の80%が新型コロナの感染再拡大による日本経済への影響を「軽微」や「ない」と回答した。「第1波よりも大きな経済の下押しとなる」と答えた人は19%にとどまった。
経済活動の再開に加え、感染第2波への懸念が高まっていないため、10年物と20年物国債の利回り予想は前月より上振れた。2021年1月末の予想平均値は10年物が0.015%、20年物が0.417%だった。一方で景気回復に対しては慎重な声もあり、回復のスピードが鈍化すれば債券市場への資金流入が続くなどの見方もある。
コロナ禍での政治イベントに関する予想はおおむね一致する傾向にあった。安倍政権の終了時期は「21年9月」が49%と約半数を占め、「21年前半」が15%、「20年秋」が11%で続いた。
米大統領選はトランプ氏の再選が35%、民主党のバイデン氏が65%で、市場は米国で民主党政権の誕生を予想している。東京五輪・パラリンピックは「中止」を予想する人が48%で最も多く、「開催」が36%、「再延期」が16%だった。
調査は7月28~30日に実施。金融機関などの債券市場関係者129人が回答した。
※QUICKでは株式、債券、外為の市場関係者を対象に、景気や相場動向についての月次アンケートを実施しています。それぞれの調査結果の詳細は、QUICKの様々な金融情報端末・サービスで公表しています。