個人が使う米株式取引アプリ「ロビンフッド」が売買データの提供を停止する方針を示しているようだ。顧客の利益に反する懸念があるためだという。同アプリの売買データを基に、個人投資家の株式保有状況を把握できるサイト「ロビントラック」も運営の停止を余儀なくされる可能性が高い。
■「現行のデータ提供は終了」
米ブルームバーグ通信が報じた。ロビントラックは特定の銘柄について、ロビンフッドが提供するデータを基に何人の投資家が保有しているのかを1時間ごとに集計している。デイトレーダーなど個人投資家の売買動向を探るのに役立つ。ロビントラックはロビンフッドと資本関係はなく、現在23歳のケイシー・プリモジック氏が大学生だった2年前にサイトを立ち上げた。
ロビンフッドは第3者によるデータ利用を監視、制限できず、顧客の不利益につながるリスクを警戒しているという。例えば長期保有目的で購入した場合でも短期売買と誤解され、誤ったメッセージを送りかねないと懸念しているようだ。プリモジック氏はブルームバーグに対し「少なくとも現行の形態でのデータ提供は終了する」と語った。
米株市場ではコロナまん延後に個人投資家の売買が活発化し、ロビントラックへの関心が高まっていた。最近では電気自動車のテスラ株が急騰したり、5月に経営破綻したレンタカーのハーツ・グローバル・ホールディングスの売買が膨らんだりした際に、ロビントラックが分析に活用された。(NQNニューヨーク 横内理恵)
<金融用語>
個人投資家とは
法人として投資を専門に行う機関投資家に対し、会社の資産ではなく、個人の資産を証券や投資信託、外貨など金融資産に投資する人。最近では、日計りで利益を積み重ねるデイトレーダーや、主に外国為替取引において「ミセス・ワタナベ」と呼ばれる(高度な)専門知識やノウハウを持たない主婦や会社員などの投資家が増えている。