金融庁は25日、同庁のサイトに「国内運用会社の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」、「米国・ケイマン・ルクセンブルグ籍のオープンエンドファンドのパフォーマンス調査」と題した2種類の委託調査内容を公表した。
投資信託の分類や運用会社ごとのパフォーマンスについての分析調査で、国内投信に関してはQUICK資産運用研究所が、海外運用の外国籍投信に関してはモーニングスターが調査した。いずれもコロナショックを受けた2019年度末(20年3月末)時点から過去に遡ってデータ分析している。
国内投信については、18年末時点を直近とした「資産運用業者の運用パフォーマンスを示す代表的な指標(KPI)に関する調査」(公表は19年7月3日)に続く2回目の調査となる。今回は計測時点を変えたうえで、新たに分類・運用会社ごとの「つみたてNISA(積み立て型の少額投資非課税制度)対象ファンド」、「確定拠出年金(DC)専用ファンド」や「アクティブ型」「インデックス型」を追加した。他に、分類別・運用会社別の信託報酬の平均集計分析、運用コストと運用パフォーマンスの相関関係の定量分析も行っている。
金融庁は、行政方針の目標として掲げる「家計の安定的な資産形成」を実現していくうえで、お金の流れを鎖のようにつなげた「インベストメント・チェーン」の中で資金がうまく回り続けることの大切さを訴え、インベストメント・チェーン参加者の中でも「資産運用会社」の役割が極めて重要としている。
運用各社が役割を果たすには何よりも運用力の向上が条件になり、それを促すには運用パフォーマンスをなるべくわかりやすく比較できる共通の指標で「見える化」するのが効果的だ。
金融庁が今年6月に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2020」では、公募投信の運用パフォーマンスの「見える化」を今後の施策として挙げており、今回の投信運用力「KPI」調査はその具体的なイメージの一端を示しているとみられる。運用力の「見える化」に向けた取り組みは、金融庁の新組織「資産運用高度化室」が中心となってかじ取りしていくようだ。(QUICK資産運用研究所=高瀬浩)