28日、安倍晋三首相が記者会見を開き自身の健康状態と新型コロナウイルス(COVID-19)対策などについて説明する。UBS証券は27日付リポートで、「首相はこの2週間に予定外の検査で2度病院を訪れた。このところの内閣支持率の低下と、首相在任期間が歴代最長を記録したことから、退陣の憶測も呼んでいる」と指摘。仮に、安倍首相が退陣となれば、現状の新型コロナ感染状況下では、地方党員も含めた全党員による選挙は難しいと見られ、国会議員だけが所属する両院議員総会において首相となる総裁を選ぶことになると見込んでいる。
■菅、麻生、岸田・・・
菅義偉官房長官と麻生太郎副総理兼財務相が有力候補とした上で、「岸田文雄政調会長も候補の一人だが、人気がいまひとつ。それは麻生副首相も同じで、菅官房長官が最有力と思われる」と指摘した。また、「首相のライバルである石破茂氏は世論調査では最も人気が高いが、自民党幹部の間では受けがよくなく、次期首相の可能性は低いだろう」としたが、「来年、全党員による選挙が行われれば、立候補が予想される河野太郎氏など他の候補と同様にチャンスはあるだろう」とみている。
■退陣思惑の影響限定
日本の将来にとって安倍首相から次期首相への移行は重要とする一方で、新型コロナ感染の現況下では、経済政策の大枠は変わらず、目先は大きな影響はないとみている。「安部退陣の思惑が語られ始めても、市場の反応は小さかった。退陣が円高を呼び株価が下がるとの見方があるが、このニュースは既に新しいものではなく、自民党政権の政策を変えるものではないことから、影響は小さいだろう」との見解を示した。(QUICK Market Eyes 川口 究)
※第2次安倍政権発足後の日経平均株価