貴金属などの出張訪問買取のバイセルテクロジーズ(7685、マザーズ)が14日の大引け後に発表した2020年1~6月期単独決算は売上高が前年同期比2.6%増の63億円、営業利益が前年同期比64%減の2億1600万円と増収ながらも大幅な営業減益となった。
18日に開催した決算説明会では「広告宣伝費」「店舗」「CASH(ネット経由の買取アプリ)」などが焦点になっていたことが明らかになった。説明会の内容をテキストマイニング(※)し、分析した。
4~6月期は、新型コロナウイルスの感染拡大により出張買取の問い合わせ数や商談件数が減少した。また、販売事業では百貨店催事の中止や国内外のオークションの開催延期の影響を受けた。一方、広告宣伝費のコスト削減などによって1回の出張訪問あたり変動利益(広告宣伝費を加味した利益)は、3万2700円と前年同期比3%減に留めた。6月以降は、経済活動再開に伴い、問い合わせ数や出張訪問数が伸び始めており、その後も継続しているという。販売事業に関してもオークションの再開やインターネット経由の販売が当初の想定をかなり上回って推移しているとした。
岩田匡平社長兼最高経営責任者(CEO) は、買取事業の事業基盤を伸長させる新たな2つの仕入れ経路を開拓していると説明した。1つは、得意としている商材の切手、古銭、骨董品などに特化した買取店舗の試験的な出店で名古屋の栄、横浜元町などにすでに開店している。出張買取に抵抗のある顧客層などに対して実店舗の安心感の強みを生かしてアプローチする。
もう1つは、買収したアプリ買取事業の「CASH」だ。買収前は取り扱える商材が限定的だったが、「リユースカンパニー」としての知見をいかした査定で取り扱い商材を拡大するとともに、専門的な査定などの導入で若年層など新たな顧客層の獲得を狙うという。
アナリストやマスコミの質問では「コロナ後の顧客の動向」にも強い関心が集まった。岩田社長は「6月の中旬ぐらいから広告宣伝に対する反応は、コロナ影響はほぼ皆無と判断した」とし「リユース事業はお客様がお金をお支払いするのではなくて、お客様に我々がお金をお支払いする事業なので、リセッション(景気後退)タイミングでは強い」との認識を示した。(QUICK Market Eyes 阿部哲太郎)