JPモルガン証券 債券為替調査部長 山脇貴史氏
健康問題に関する報道も多く、早かれ遅かれ次期総裁選は近いとみる市場参加者場多かったものの、安倍首相の辞任は考えていたよりも早かったという心象だ。
自民党若手議員からは党員投票の実施を強く求める声もあったようだが、両院議員総会で総裁を線出する方針が固まったように思われる。9月1日の党総務会で方針が最終決定され、14日に自民党総裁、17日に召集される臨時国会で首相が決定する段取りとなりそうだ。党員投票が無いことを背景に石破氏、河野氏が出馬を見送る可能性があり、菅官房長官と岸田政調会長の一騎打ちとなると見込んでいる。
菅氏が岸田氏が次期首相とななりようだと、経済・財政政策の基本方針はほぼ踏襲されるだろう。岸田氏は独自路線を徐々に出していくかもしれないが、就任当初から大きな路線変更を打ち出すとは考え難い。菅氏は全面的にアベノミクスの継続になりそうだ。
アベノミクスや経済政策の失敗が原因で安倍首相が辞任するのであれば、黒田日銀総裁もあわせて辞任ということも考えられるが、今回はそのような可能性は極めて低いだろう。黒田総裁のもとでのイールドカーブ・コントロール(YCC)をベースにした金融政策の大枠は全く変わらないだろう。次期首相がだれになったとしても、追加緩和や正常化を要請することはないとみている。
菅首相になるならば日本株市場にとってはポジティブというのが当社株式調査部の見方で、為替調査部はやや円高になることを予想しているが。どちらも急激な変動までは見込んでいない。引き続き、円債市場は米金利市場などの外部環境により強い影響を受ける状況が続きそうだ。(QUICK Market Eyes 丹下 智博)