ソニーフィナンシャルホールディングスの尾河眞樹・執行役員 兼 金融市場調査部長/チーフアナリスト
28日の東京市場では安倍晋三首相が辞任を表明したことで、株安・円高・債券安の展開になった。しかし、首相交代でも経済政策に大きな変化はないとの見方が広がったことや、菅義偉官房長官が次期首相になるとの見方から、株価は急回復し、債券相場も戻している。
ソニーフィナンシャルホールディングスの尾河眞樹氏も「後任は来年9月末までのリリーフということもあり、大きな政策の変更はなさそう」とみている。また、「黒田日銀総裁が舵取りをする限り、日銀の金融政策にも変化はない」とも述べていた。
ただ、強いて為替市場への影響を挙げるなら「やや円高方向」とも指摘した。「8年近い長期政権によって、特に外交面で国際社会における日本の評価が向上したことや、米トランプ政権とトップ同士の強い信頼関係が構築できたことなどに、今後変化が生じる可能性がある」ことは懸念されるという。また、「かつて長期に亘る小泉政権後の総理大臣の任期が6名連続で短命に終わり、その間日本の政治が不安定だったこと」を挙げた。
特に、足下はコロナ禍の景気悪化や、米中摩擦激化によって、国内経済・外交面共に強いリーダーシップを発揮することが求められる。仮に安倍首相の後任が国民の期待に応えられなかった場合には、「来年の衆院選を絡めて政治が不安定化し、円高圧力がかかりやすくなるのかもしれない」と述べていた。(QUICK Market Eyes 池谷 信久)