16日の中国・上海株式市場で、白酒製造の貴州茅台酒が続落した。一時は前日比25.00元(1.42%)安の1735.00で売られた。前日夜に「子会社によるフィクスト・インカム資産への投資を取締役会で承認した」と発表した。デフォルト(債務不履行)のリスクが高いとされる、貴州省内の地方政府設立の融資プラットフォームが発行する「城投債(都市建設債)」を購入するのではないかとの観測が広がり、株価の重荷となっている。
貴州茅台酒は開示資料で「フィクスト・インカムへの投資額は同子会社の資本の70%以下」とした。中国メディア「21世紀経済報道」によると、13年に設立した時の登録資本は25億元だった。貴州省の負債を軽減するため、貴州茅台酒の親会社が19年12月末に4%の貴州茅台酒株を無償で貴州省国有資産委員会に譲渡しており、今回の承認も貴州省の負債を肩代わりするための動きと警戒されている。
中国の太平洋証券は「2018年末時点で貴州省の債務残高は8849億元で、負債比率も60%近くと、ほかの地域より高い水準にある」と指摘した。光大証券によると、貴州省が19年に発行した城投債の年利は7%を上回り、全国でトップ水準となっている。一方で貴州茅台グループの19年の売上高は1000億元を突破し、貴州省の域内総生産(GDP、1兆6700億元)の6%にのぼった。【NQN香港=林千夏】