※日本(赤)と中国(青)の米国債保有額の推移
【QUICK Market Eyes 片平正二】米財務省が9月16日に発表した7月の対米証券投資(TIC)統計によると、日本の米国債保有額が1兆2930億ドルとなって前月(1兆2615億ドル)から315億ドル増加したことが分かった。3月(1兆2726億ドル)を上回り、日本としては過去最大の米国債保有額を記録したことになる。
■米国債の需要再び?
一方、中国の米国債保有額は1兆734億ドルで前月(1兆744億ドル)からほぼ横ばいだった。ジェフリーズは16日付のリポートで、「ここ数カ月、米国債の供給が急増していたにもかかわらず日本の保有高は安定していたが、7月に入って増加に転じた。一方で中国本土の保有高は4月以来の低水準となった」と関心を寄せていた。
JPモルガンは16日付のリポートで、7月に海外投資家が228億ドルの米長期債を売ったとしながら、「公的機関がこの売り越しを主導し、1カ月で207億ドルの長期債が売られ、4月以来最大となった」と指摘した。地域的には、ユーロ圏がこの売りの大半を主導したといい、アイルランドは過去12カ月のうち11カ月で売り越したという。その反面、タックスヘイブンのケイマン諸島からは再び買い需要が出ており、7月は110億ドルの買い越しとなった。これを踏まえ、リポートでは「市場環境が正常化を続ける中、米国債に対する需要が再び高まったことを示している」とみていた。
<金融用語>
タックスヘイブンとは
英語表記は「Tax Haven」。外国資本や外貨獲得のために、税金を優遇もしくは免除している国や地域のこと。別名「オフショア」とも呼ばれる。モナコ、サンマリノ、マン島、ジャージー島、バミューダ諸島、バハマ、バージン諸島、ケイマンなどが有名。