印刷通販サイトのラクスル(4384)が9月10日にオンラインで開催した2020年7月期決算の説明会では、「成長」、テレビCMの運用型広告プラットフォームである「ノバセル」、荷主とトラック運転手のマッチングサービス「ハコベル」などに話題が集中していたたことが明らかになった。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
説明会の冒頭、松本恭攝社長兼最高経営責任者(CEO)は「印刷、広告、物流といったデジタル化が進んでいない産業にインターネットを持ち込んで、その産業構造を変えていく」というビジョンを紹介した。20年7月期は、印刷通販サイトのラクスルが持続的に成長したのに加えて、ノバセルとハコベルの大幅な拡大で「売上高が強く成長した」と振り返った。20年7月期の売上高は、前の期に比べ25%増の214億円だった。
営業損益は2億4400万円の赤字(同1億4300万円の黒字)に転落したが、20年5~7月期は2億3700万円の黒字になったと指摘。「コスト構造を見直して、新型コロナウイルスの影響下でも利益がしっかりと出せる大勢を構築できた」と強調した。
永見世央最高財務責任者(CFO)は、成長への事業トピックスを紹介。主力のラクスル事業では、シールやノベルティなどの紙以外のEC(電子商取引)分野への進出や「自動最適発注のアルゴリズムの開発、改善」に加え、パートナーシップの継続的な拡大を進めていると指摘した。
アナリストやマスコミの質問ではコロナ後のラクスル事業の環境にも強い関心が集まった。在宅時間の増加でダイレクトメールに使う封筒やポスティング向けのチラシなどの商材が伸びている一方、「チラシや冊子、パンフレット、名刺などの典型的な紙の印刷は需要の減少が続いている」(松本社長兼CEO)と指摘したが6月以降は回復しているという。「全体としては発注のデジタルシフトや低コスト志向で業界全体として昨年対比で100%のレベルまで改善している」(同)との認識を明らかにした。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)