オフィス用品の通販大手のアスクル(2678)が9月16日にオンラインで開催した2020年6~8月期(第1四半期)の連結決算の説明会では、「BtoB」「メディカル」個人向け日用品通販サイト「LOHACO(ロハコ)」などが焦点になっていた。説明会の内容をテキストマイニングし、分析した。
20年6~8月期の営業利益は前年同期の2倍の29億円と、この期間として過去最高だった。企業向け(BtoB)事業が好調だったうえ、ヤフーとの提携によって販促費などが効率化した。
売上高も前年同期比2%増の1001億円と過去最高だった。BtoB事業ではコピー用紙など主力のオフィス用品は落ち込んだが、消毒剤やマスクを中心としたメディカル事業が急増した。好調な業績の推移を受け7月に開示した21年5月期の通期の業績予想も上方修正した。
アスクルの玉井継尋最高財務責任者(CFO)は、BtoB事業が好調な理由について「電子商取引(EC)市場の広がりによる顧客数の増加」「新型コロナウイルスによる消毒剤やマスクなどの利益率の高いメディカル用品の拡販」「売上高の回復による、物流の生産性の回復」の3点を挙げた。
EC市場の拡大やデジタルマーケティングの強化に伴い、顧客基盤は着実に広がった。8月末のアスクルの登録顧客数は、400万件を突破した。多様化する需要を獲得するため、オリジナル商品は1万点への拡大を目指す。メーカーなどから顧客に直送する「ロングテール商品」の商材数は8月20日時点で約760万点と品揃えも強化した。
ロハコ事業の6~8月期の売上高は、前年同期比5%増の129億円と会社側の計画通りに推移した。営業赤字は12億円と前年同期から4億円縮小し、こちらも期初の計画通りだった。吉岡晃社長兼最高経営責任者(CEO)は「ロハコは着実に収益改善し、23年5月期までの黒字化を実現する」と強調した。
アナリストの質問ではBtoB事業の足元の事業環境に高い関心が集まった。玉井CFOは、新型コロナウイルスの感染拡大で「医療機関の登録が一気に拡大できた」とプラスの影響があったとしつつ、「経済産業省による医療機関への消毒液の優先供給スキーム」など、一部で特需的な内容があったことから「第2四半期以降続くのか、ちょっと慎重な見方をしなければいけない」と説明した。(QUICK Market Eyes 阿部 哲太郎)