3日の米国市場で中国の電子商取引(Eコマース)大手のアリババ・グループの米預託証券(ADR、@BABA/U)が急反落し、8.12%安の285.57ドルで終えた。一時は下落率が9%を超えて大幅安となった。
アリババ傘下の金融会社のアント・グループが3日、香港、上海で計画していた新規株式公開(IPO)を延期すると発表した。アントの経営権を実質的に握るアリババ創業者、馬雲(ジャック・マー)氏の発言を巡って中国人民銀行(PBOC)など金融当局が2日に聴取に及んでいたという。馬氏は10月下旬の上海市の講演で「良いイノベーションは(当局の)監督を恐れない。ただ、古い方式の監督を恐れる」などと述べていたという。
ニーダムは3日付のリポートで「アント・グループの株式33%を持つアリババは、アントのIPO延期の知らせを受けて悪影響を受けた。IPOの延期には、人民銀と中国銀行保険監督管理委員会が2日に発表した『オンラインマイクロ貸出業規制』で規制環境が変化したことが理由だという」と指摘した。
新ルールでは、銀行からの融資や株主からの融資を原資とする場合、貸出会社は純資産の1倍のレバレッジを維持しなければならず、資産担保証券(ABS)や債券を原資とする場合、純資産の4倍のレバレッジを維持しなければならない。また、シンジケートローンは原資の30%以上を融資会社が負担しなければならず、登録地域以外の居住者には融資できないといい、「近い将来のどこかで取引が成立すると予想されるが、短期的には不確実性が残るだろう」とみていた。(QUICK Market Eyes 片平 正二)