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ESG関連投信がブーム、2020年は過去最多に 「未来の世界(ESG)」がけん引

ESG(環境・社会・企業統治)に関連した投資信託の新規設定が増加している。QUICK資産運用研究所の調べでは、2020年は10月末時点で判明している分だけでも35本にのぼり(年内設定予定含む)、これまで最多だった18年の28本を上回る見込み。当初設定額の合計も5000億円を超え、過去最高を更新する。

■DC専用の設定目立つ

ESG投資は、企業の将来性や持続可能性を環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の3点から分析・評価して投資先を選定する手法を指す。近年、従来の財務情報に加え、企業の長期的な収益性を図るための判断材料として重要視されるようになってきた。長期での資産形成や投資による社会貢献として期待が大きい一方、投資家のリターンに繋がるかどうかが未知数な分野でもある。ESG関連投信の設定は18年ごろからグンと増えた。

今年の特徴の一つは、確定拠出年金(DC)専用ファンドの多さだ。今年設定の35本中8本がDC専用。ESG関連投信は昨年までに設定された分も含めて173本あるが、このうちDC専用は14本。つまり今年の設定だけでDC向けESG関連投信の半数以上を占める。長期を前提にしたESG投資がDCのしくみと親和性が高いことが要因に挙げられそうだ。

■「未来の世界(ESG)」設定でブーム到来

今年新規設定したESG関連投信で最も注目を集めたのは、アセットマネジメントOneの「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド(為替ヘッジなし)<愛称:未来の世界(ESG)>」。7月20日に運用を始め、今年最大かつ歴代2位の当初設定額(3830億円)を集めた。

同ファンドは世界の株式のうち、企業の競争優位性や成長力に加え、ESGへの取り組みも評価し投資先を選定する。9月末時点の最新月次レポートでは米国への投資が7割超を占める。組み入れ銘柄数は27で、上位には米アマゾン・ドット・コム(AMZN)、中国オンライン教育の好未来教育集団(TAL)、ビデオ会議サービスを手掛ける米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)などが並ぶ。運用開始後も資金流入が続き、10月末時点で純資産総額(残高)が国内公募投信(ETFを除く)で2位まで躍進した。

このファンドが人気を集めたことで「ESGブーム」に火が付き、その後の設定増加にも影響した面がありそうだ。今年のESG関連投信の新規設定は同ファンドまでが12本、それより後は21本に増えた。

 続く8月に設定した「野村ブラックロック循環経済関連株投信<愛称:ザ・サーキュラー>」にも多くの資金が集まった。同ファンドは新興国を含む世界の株式のうち、持続可能な経済活動の発展と環境負荷軽減の両立を目指す循環経済モデル「サーキュラーエコノミー」関連企業に投資する。為替ヘッジをしない「Bコース」の当初設定額は450億円で今年7位、米ドル売り円買いの為替取引をする「Aコース」は330億円で9位に入った。

■収益の一部を寄付するファンドも

 ESG関連投信の中には、収益の一部を寄付するファンドもある。りそなグループが2019年10月から取り組んでいる「みらいE-usプロジェクト」では、SDGs(持続可能な開発目標)に貢献する投資方針のファンドを対象に、同グループの運営する2つの公益財団法人に収益の一部を寄付する。それぞれ高校生と大学生を対象に奨学金を給付する財団で、学ぶ意欲がありながら経済的課題を抱えている学生をサポートする。対象ファンドには、大和アセットマネジメントが運用する「クリーンテック株式&グリーンボンド・ファンド<愛称:みらいEarth>」2本も含まれる。今年2月設定のファンドで、環境分野で優れた技術を持つ世界のクリーンテック関連企業の株式と、環境問題の解決に使途を限定して発行するグリーンボンド(環境債)を半分ずつ組み入れ運用する。

 野村アセットマネジメントは、11月30日に設定を予定している「グローバルESGバランス・ファンド<愛称:ブルー・アース>」4本の収益の一部を、各都道府県の地方公共団体が実施するSDGs関連事業に寄付する。実施期間は21年~25年までで、寄付は各地域の金融機関の販売残高に応じ、年1回を予定している(初回は21年3月)。同ファンドは為替ヘッジの有無と決算頻度が異なる4本で、ESGに関連する世界の小型株や不動産投資信託(REIT)、先進国の米ドル建て社債、米ドル建て新興国国債に投資する。また、野村証券はESG関連投信を積み立て方式で買うと2025年末まで毎月の購入手数料(買付金額合計50万円まで)の相当額がキャッシュバックされるキャンペーンを今夏に始めた。「ESGブーム」の波に乗り遅れまいと、業界全体があの手この手の商品開発や販売促進に取り組んでいる。

(QUICK資産運用研究所=西本ゆき)

著者名

QUICK資産運用研究所 西本 ゆき


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