QUICKが実施した11月の「QUICK短期経済観測調査(QUICK短観)」で、製造業の業況判断指数(DI)はマイナス18と、5カ月連続で改善した。全産業(金融を含む)もマイナス2と前月調査から9ポイント改善した。
■企業による業況判断も上向き
製造業DIが5カ月連続で改善するのは2013年4~9月の6カ月改善以来の最長記録となる。製造業DIと東証株価指数(TOPIX)の前年同月比にはある程度の相関が確認できる。13年4~9月もTOPIXは前年同月比で高い伸びを記録していた。QUICKコンセンサスDIではアナリストによる業績予想に底打ち基調が鮮明となっていたが、企業自身による業況判断も同様に上向いている。
「日本は新型コロナウイルスの感染者数が欧米諸国に比べて相対的に少なく、ここに来て景況感が改善していることも、買い安心感に繋がる」(外資系証券トレーダー)との声も聞かれた。
■11月の傾向
一方で株式市場に目を移すと、東証の投資主体別売買動向では海外投資家は11月に大きく日本株を買い越す傾向を確認できた。
また、直近10年平均の月間騰落率を見ると、11月は最も上昇しやすい傾向にある。
アナリスト予想や企業の景況感の改善に加え季節要因も後押しし、日本株は下値の底堅い展開が続きそうだ。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
<金融用語>
QUICK短観とは
QUICK短観とは、正式名称はQUICK短期経済観測調査。QUICKが調査・発表している国内上場企業の景況感を示す経済指標。日本銀行が国内企業を対象に景況感を調査する「全国企業短期経済観測調査(日銀短観)」は年4回の公表だが、QUICK短観は毎月公表している。日銀短観の2週間ほど前に最新の調査結果を公表していることから、日銀短観の先行指標として利用されている。足元および先行きの業況判断について「良い」、「さほどよくない」、「悪い」の三択方式で質問し、調査結果を「DI」(Diffusion Index、ディフュージョン・インデックス)という指数にして製造業や非製造業などの分類ごとに発表する。例えば、足元の業況判断DIは3ヵ月前と比べて「良い」と回答した企業の割合から、「悪い」と回答した割合を差し引いて算出する。 景況感以外にも、自社の株価水準や円相場の水準、将来の物価見通しなどについても調査している。