【QUICK Market Eyes 片平正二、川口究】
■2021年はバリュー・ローテーションで日本株に注目、日経平均は3万円=BofAセキュリティーズ
BofAセキュリティーズは2日付のリポートで「バリュー・ローテーションで2021年は日本株に注目」との見解を示した。日本株に良好な環境がそろってきたとして、①世界経済と市場のサイクルは日本株にポジティブな局面、②相対バリュエーションとポジショニングも日本株の支援材料、③為替市場の環境変化により日本株の下落リスクが後退――の理由を挙げつつ、2021年末の指数の水準はTOPIXで2000、日経平均株価で3万円と予想した。
来年の経済環境に関しては、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大第3波を受けて短期的には日本経済の減速が生じようとしつつ、「しかし、2021年は輸出と設備投資主導による景気回復が期待される」と指摘。「低インフレは金融政策の当面の据え置きを意味し、来年は政治が再び焦点になるとみられる」とも指摘した。
リポートでは「但し、低金利前提に支えられた世界的な楽観の台頭が陶酔の領域に達する可能性もあり、リスク管理においては市場センチメント、金利ボラティリティ、ポジショニングの監視と銘柄選択が重要となろう」とも指摘。2021年の投資テーマに関連して注目する銘柄として下記の16銘柄も挙げた。
コード | 銘柄名 |
3382 | 7&I-HD |
3402 | 東レ |
4004 | 昭電工 |
4568 | 第一三共 |
6301 | コマツ |
6723 | ルネサス |
6981 | 村田製 |
7267 | ホンダ |
7733 | オリンパス |
7741 | HOYA |
8316 | 三井住友 |
8591 | オリックス |
8801 | 三井不 |
9201 | JAL |
9434 | SB(ソフトバンク) |
9984 | ソフトバンクG(SBG) |
■日本でバリューが安定的にアウトパフォームするには、クオリティの改善が不可欠=SMBC日興
SMBC日興証券は11月30日付リポートで、低PBR銘柄のパフォーマンスが芳しくない背景として、低PBR銘柄ほど低クオリティの傾向が近年強まっていることが挙げられるとの見方を示した。PBRが1倍割れの銘柄ではROEの順張り戦略が有効だった。「ROEの改善が見込めない銘柄は、バリュエーションが低くても買われないということを示している」と考えられる。PBRが1倍を超える銘柄では、自己資本比率の順張り戦略が有効だった。「高PBR銘柄のROEは高いため、レバレッジを高めてROEを上昇させている銘柄が好まれにくいのかもしれない」との見方を示した。「日本でバリューが安定的にアウトパフォームするためには、クオリティの改善が不可欠である」という。
・PBRが1倍未満でROEが高い銘柄群
コード | 銘柄名 |
1808 | 長谷工 |
4043 | トクヤマ |
1802 | 大林組 |
8002 | 丸紅 |
1812 | 鹿島 |
1332 | 日水 |
3941 | レンゴー |
5233 | 太平洋セメ |
5021 | コスモエネHD |
1803 | 清水建 |
1820 | 西松建 |
5334 | 特殊陶 |
1883 | 前田道 |
7270 | SUBARU |
1333 | マルハニチロ |
4042 | 東ソー |
8804 | 東建物 |
4631 | DIC |
9101 | 郵船 |
2768 | 双日 |
・PBRが1倍以上で自己資本比率が低い銘柄群
コード | 銘柄名 |
9449 | GMO |
4755 | 楽天 |
8267 | イオン |
7616 | コロワイド |
9434 | ソフトバンク |
6753 | シャープ |
9984 | ソフトバンクG |
3769 | GMOPG |
8086 | ニプロ |
6758 | ソニー |
4689 | ZHD |
9041 | 近鉄GHD |
2651 | ローソン |
3563 | スシローGHD |
8876 | リログループ |
4091 | 日本酸素 |
6141 | DMG森精 |
7550 | ゼンショーHD |
5938 | LIXIL |
8830 | 住友不 |
■外国人投資家は中小型株から大型株へのシフトが明確=みずほ証
11月第4週に日経平均株価が4.37%高となった一方、東証マザーズ指数は1.05%高にとどまって中小型株がアンダーパフォームした。みずほ証券は1日付の中小型株ウィークリーのリポートで「外国人投資家は東証1・2部で11月第1~3週に3週連続で買い越し、買い越し合計額が2兆7000億円(現物+先物)に達したのに対して、11月2~3週にマザーズ、ジャスダックでは2週連続で売り越し、売り越し合計額が各々357億円、234億円になった」と指摘した。
その上で「元々マザーズに投資する外国人投資家はアジアのヘッジファンドが多い印象だったが、外国人投資家は中小型株から大型株へのシフトが明確になった」と指摘。また、「投資テーマがITから環境関連にシフトしていることも、東証1部のマザーズに対するアウトパフォームに繋がっていよう」と締めくくっていた。