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週間REITニュースまとめ 資金流入の勢いに懸念、プロが見る今後の有望なセクターは?

【QUICK Money World 吉田 晃宗】来週(12月7日~)の上場REIT(不動産投資信託)市場を展望するために、QUICKが今週配信したREIT関連ニュースを振り返った。11月の国内公募投信の資金動向を振り返ったところ、資金流入が続いていたREIT型ファンドが資金流出に転じたことが分かった。アナリストからもREIT市場は足元で本格的な資金流入には至っておらず、サブセクター選考の傾向となる見方が出ている。

野村証券は「最近の不動産株の上昇を、J-REIT相場への資金流入開始の兆しと捉えたい」としつつも、増資発表銘柄の株価が軟調なことから、増資の活発化をREIT自身が金融・不動産賃貸市場の先行きに不安な見方を持っていることの現れと捉える向きがいる可能性を指摘。投資家のREITに対する視線は引き続き慎重なようだ。

来週にREITの決算発表は予定されていない。

今週の主要REIT指標の騰落率は以下となる。REIT相場全体は底堅く推移、前週に引き続き「オフィス」の上昇が相場を支えた。一方、「住宅」「物流」は軟調だった。

銘柄名 騰落率(%)
東証REIT指数 +0.16
東証REITオフィス +1.06
東証REIT住宅 -2.04
東証REIT商業 -0.18
東証REIT物流フォーカス -1.64

■不動産投資信託(REIT)型ファンド、資金流出に転じる 11月の投信(12/2)

11月の国内公募追加型株式投資信託(上場投資信託=ETFを除く)の資金動向は、設定額から解約額を差し引いて約4370億円の資金流出超だった(QUICK資産運用研究所推計)。設定額が解約額を下回るのは6月以来5カ月ぶりで、流出超過額は昨年4月(6100億円)以来1年7カ月ぶりの多さだった。

投資対象別にみると、国内株式型からは約4600億円の資金が流出した。流出額は前月の1020億円を大幅に上回り、2016年12月(4920億円)以来の多さ。日経平均がおよそ29年半ぶりの高値圏に上昇したことで利益確定売りなどが出たとみられる。資金流入が続いていた不動産投資信託(REIT)型やバランス型は資金流出に転じた。一方、海外株式型には資金流入が続いた。(QUICK資産運用研究所 竹川睦)

■J-REIT、今後はサブセクターに動意か、各社の投資選好(12/2)

11月の東証REIT指数は0.91%高と2カ月連続の上昇となった。月末値としては9月以来、3カ月ぶりに1700を上回って終えた。サブセクター別の株価推移を見ると、これまで上昇が目立っていた物流型が売られ、出遅れていたオフィス型が買われるなど、サブセクター別の年初来で見たパフォーマンスが収斂する形となった。

野村証券は1日付のJ-REITリポートで、「11月は中間とも言えるオフィスや商業、複合・総合型REITが選好される展開になった」と指摘した。今後については、目先は11月末の東京オフィス空室率や、新型コロナの感染拡大かで商業REIT各社のテナントからの賃料減免要請発生状況を踏まえてのサブセクターの選好傾向になるとの予想も示されている。野村証はサブセクターの投資優先順位を現状、物流、住宅、複合・総合型、中小オフィス、商業施設、大型オフィス、ホテルとしている。

みずほ証券は「全体的には割安銘柄が買われる展開となった」と指摘した。また、「公募増資の発表で大きく値を崩すケースが多く、需給面でも弱さが目立った」と振り返った。その上で、「高い利回りを求める潜在的な投資需要はある一方、不動産市況の調整による収益悪化リスクで本格的な資金流入には至っていない」との見方を示した。今後の見通しについては、2021年末の東証REIT指数1800予想を据え置き、割安銘柄への資金流入がけん引する形で東証REIT指数の上昇を見込んだ。セクター別の投資選好は商業施設、総合、オフィス、物流、住宅、ホテルとしている。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)

■J-REIT、増資の内容を冷静に評価、増資活発化に懐疑的な見方か=野村(12/3)

野村証券は2日付リポートで、増資を決議したJ-REITの株価がその発表直後に大きく下落し、銘柄によってはその後の株価が中々反発しないケースもみられる中、J-REIT市場で「6月に増資が再開されてから12月1日までに増資を決議したJ-REIT延べ13社は、増資を通じて巡航DPS(1株当たり配当金)を平均4.2%、NAV(純資産株価倍率に相当)/株を同3.7%増加させている。不動産評価額に対する融資額(LTV)などを含む主な経営指標の変化の状況や取得物件の内容から、J-REITの増資の内容が厳しく評価されるべきものに変化しているとは捉えにくい」と指摘した。

増発表直後に株価が大きく下落する傾向がみられることには相場全体が良くないためとする一方、「J-REITの増資が活発になっていることに対して懐疑的な見方が生じている」可能性があるという。現在の金融市場は新型コロナのワクチン開発進展を受けてリスクオンに傾きがちな状況にあるとする一方、新型コロナの感染拡大によってリスクオフに傾いてもおかしくはない状態にあり、こうした状況下で「J-REIT自身が金融市場、不動産賃貸市場の先行きに不安な見方を持っているからこそ、年明けから金融市場の潮目が悪い方へ変わるかも知れないその前のこのタイミングでJ-REITの増資が活発化していると捉える向きもあると考えられ、それがJ-REITの増資発表直後の厳しい株価の反応に繋がっている可能性もある」とし、「最近の増資発表後の株価傾向を踏まえてJ-REITの増資を株価下落リスクと捉え、増資が元々ビジネスモデルに組み込まれているJ-REITセクターへの投資を手控える向きが増えているとすれば、それも相場の上値の重さに繋がっている可能性がある」という。

ただし、基本的には「ポートフォリオの質の毀損や、巡航上限を大幅に上回る水準へのLTVの引き上げを伴わずに巡航DPS及びNAV/株の増加を実現する内容の増資は、前向きに評価されるべき」とし、冷静に経済的な効果などを評価したいと指摘した。(QUICK Market Eyes 川口究)

■J-REIT、「不動産株の上昇をJ-REIT相場への資金流入開始の兆しと捉えたい」=野村(12/4)

野村証券は3日付リポートで、出遅れ感や新型コロナウイルスのワクチン普及後を見据えた買いから内需系セクターへ投資資金の流入が続き、東証不動産業株価指数は10月末から12月3日にかけて22%上昇した一方で、東証REIT指数はその間3%の上昇にとどまっている状況について、「J-REITは株式と比べて売買流動性が低く、また利回り商品の側面も強いJ-REITではインカムゲインを重視する投資家層の市場参加割合も比較的大きいと考えられる。こうした違いが、J-REITの不動産株に対する出遅れの背景にある可能性がある」と指摘した。

また最近の状況の違いを考えた場合、不動産株に関してはM&Aや事業領域の拡大が話題になっていることがある。一方でJ-REITセクターに固有の現象として、活発な増資が挙げられるという。最近増資を決議したJ-REITの株価がその発表直後に割と大きく下落し、その後中々反発しない傾向が見られている。しかし、「増資の内容が厳しく評価されるべきものに変わってきているとは捉えにくい。需給悪化懸念などからの条件反射的な売りによる株価下落は本質的なものとは考えにくく、いずれ解消されると考えられる」とした。

東証REIT指数は上値が重い展開が続いているが、最近に限れば3日時点でJ-REIT市場の時価総額の23%を占める物流REITの株価パフォーマンスが総じて低調なことが影響しているという。しかし好調な賃貸市況、増資によるDPS(1株当たり配当金)とNAV(純資産株価倍率に相当)の成長性の観点から、物流REITには評価し易い魅力があり、「今後オフィスと商業、複合・総合型REITが一層買われて物流REITとのバリュエーション格差が縮小し、それを受けて経営状況が良好な物流REITが再び買われ、J-REIT相場全体が上昇する展開に期待したい」とした。ゼネラリスト投資家の中には、不動産株をJ-REITの先行指標と見る向きもあり、「最近の不動産株の上昇を、J-REIT相場への資金流入開始の兆しと捉えたい」と指摘した。(QUICK Market Eyes 川口究)

■REIT決算&開示情報

12/2 <決算>インベスコ (3298) 増額修正 分配金(410円←388円 2020/10)

12/1 <決算>アコモF(3226) 下方修正 経常利益(48.82億円←48.85億円 2021/02)

著者名

QUICK Money World 吉田 晃宗


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