【QUICK Market Eyes 大野弘貴】
■株高が基本シナリオ、景気回復で金融緩和環境は「かつてないほど」に
エバコアISIは1月3日付リポートで、長期にわたって金融緩和を維持するとの方針を示した米連邦準備理事会(FRB)の見解を踏まえ、2021年の基本ケースを、「利回りが幾分上昇するものの、米株高(特に長期シクリカル銘柄の上昇)、ドル安、エマージング株高」とした。
基本的な見方として、「金融政策と実質金利は21年の経済の発展と比較して歴史的に緩和的である」ことが挙げられた。「今後、景気が回復するにつれて金融緩和が続くと言う事は、今よりさらに、かつてないほど緩和的になる」とも指摘している。
■ネット・エクスポージャーが18年2月以来の水準に
同社の強気は独りよがりというわけではない。昨年12月23日付のリポートでは、毎週実施しているヘッジファンド・サーベイを公表した。
同日時点でヘッジファンドのネット・エクスポージャーは52.3と、前週16日時点の52.1から2ポイント上昇した。2日時点の51.3から3週連続で上昇した。同数値は2018年2月以来の高水準となる。
同サーベイは31の主に株式ロング・ショートのヘッジファンドを対象とし、運用資産残高860億ドルに上る。セクター別では、ヘルスケア、一般消費財、不動産など広範な業種でネットポジションが拡大。一方、公共事業のネットポジションは減少した。
ヘッジファンドは既に株式のポジションをロング=買い持ちに傾けており「仕込み済み」とも言えそう。2021年の株高シナリオはコンセンサスと言えそうなだけに、はしごを外される場面も頭の片隅に置いておく必要がありそうだ。
<金融用語>
エマージング市場とは
エマージング市場とは、成長段階の初・中期に位置する国や地域の市場のこと。 一般に、中南米、東南アジア、中国、インド、東欧、ロシアなどがエマージング市場とされる。発展途上のため高い運用成績を期待できる半面、政権交代や急激なインフレ、通貨暴落などのリスクもある。