【QUICK Money World 吉田 晃宗】来週(1月11日~)の上場REIT(不動産投資信託)市場を展望するために、QUICKが今週配信したREIT関連ニュースを振り返った。緊急事態宣言、米長期金利上昇と、一般的にはREITにネガティブとされるニュースが相次いだが、市場では「過度に慎重になる必要はない」という楽観的な声が多い。来週は大和オフィス(8976)、SOSIiLA(2979)、プロロジス(3283)、大江戸温泉(3472)、阪急阪神リート(8977)が決算を発表する予定だ。
今週の主要REIT指標の騰落率は以下となる。REIT相場は軟調。とりわけ物流、住宅、商業の下げがきつかった。
銘柄名 | 騰落率(%) |
東証REIT指数 | -1.68 |
東証REITオフィス | -0.99 |
東証REIT住宅 | -2.27 |
東証REIT商業 | -2.21 |
東証REIT物流フォーカス | -3.23 |
■「緊急事態宣言でもJ-REIT相場に過度に慎重になる必要は無い」=野村証(1/13)
野村証券は12日付のJ-REIT(日本の上場不動産投資信託)リポートで、今年に入り首都圏1都3県に緊急事態宣言が発令され、今後も対象地域の拡大が見込まれる中、J-REITのサブセクター別の株価パフォーマンスは物流や住宅と言ったディフェンシブなセクターがアウトパフォームしていると指摘。対照的に、オフィス、ホテルがアンダーパフォームした。
リポートでは「新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言が景気に及ぼす悪影響、個人と企業の行動変容が再び警戒される中、それらの影響が比較的小さいと考えられる物流と住宅が選好されている印象」と指摘。また、商業については、「テナントが一時休業を余儀なくされる事態にさえならなければ、賃料減免要請はそれほど発生しないとの見方が市場の一部にある」との見方も示されている。
それでも、「基本的にはJ-REIT相場の日本株相場に対するこれまでの顕著な出遅れ感が注目され、投資資金が流入する展開」を予想。変異種拡大などのリスクはあるものの、REITの新型コロナへの対処は「基本的には前進が続く性質」であることに加え、「金融市場が潤沢な流動性に支えられる構図も一層強まる可能性がある」とし、「少なくとも、現時点では緊急事態宣言でもJ-REIT相場に過度に慎重になる必要は無い」との見方が示された。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
■レーティング変更銘柄一覧(1/13)― 大手証券がハウスリートを格上げ、フロンティアREを格下げ(1/13)
【レーティング変更銘柄一覧】
<格上げ>
コード | 銘柄略称 | 証券会社 | 変更内容 | 前日終値 | 前々日比 | (%) |
2979 | SOSiLA | SMBC日興 | 「2」→「1」格上げ | 126600 | -200 | (-0.15%) |
3281 | GLP | SMBC日興 | 「2」→「1」格上げ | 169900 | 300 | (0.17%) |
8955 | 日本プラR | SMBC日興 | 「2」→「1」格上げ | 339500 | 0 | (0.00%) |
8984 | ハウスリート | SMBC日興 | 「2」→「1」格上げ | 263100 | 2200 | (0.84%) |
<格下げ>
コード | 銘柄略称 | 証券会社 | 変更内容 | 前日終値 | 前々日比 | (%) |
3279 | API | SMBC日興 | 「1」→「2」格下げ | 427500 | 500 | (0.11%) |
8964 | フロンティアRE | SMBC日興 | 「1」→「2」格下げ | 398000 | -5000 | (-1.24%) |
8972 | ケネディオフィ | SMBC日興 | 「1」→「2」格下げ | 676000 | -6000 | (-0.87%) |
証券会社による投資判断の変更や新規付与の動きでは、SMBC日興証券がカバレッジするREITセクターの銘柄について投資評価の見直しを行い、2021年のJ-REIT市場見通しを更新したようだ。同証券ではJ-REITセクターにおける業種格付け「強気」を継続するとした。
推奨銘柄では、「一定の収益悪化懸念があるも影響が軽微で、割安感が残るオフィス型・総合型」もしくは「いかなる外部環境のもとでも安定収益を確保しつつ、外部成長で増配も期待できる物流施設型」をポイントに挙げている。
オフィス型では、日本プライムリアルティ投資法人(8955)について、投資判断を「2(中立)」から「1(アウトパフォーム)」に引き上げた。物流施設型では、GLP投資法人(3281)、SOSiLA物流リート投資法人(2979)を推奨銘柄に挙げ、投資判断を「2」から「1」に引き上げた。総合型だが、物流施設を住宅を組み入れた大和ハウスリート投資法人(8984)についても投資判断を「2」から「1」に引き上げた。
フロンティア不動産投資法人(8964)については、投資判断を「1」から「2」に引き下げた。賃料収入の減少リスクは小さい点は評価しているが一定のリバウンドは確保したとみている。アクティビア・プロパティーズ投資法人(API、3279)、ケネディクス・オフィス投資法人(8972)についても投資判断を「1」から「2」に引き下げた。
※当該市場は市場から入手したものであり、正確性を保証するものではありません。(QUICK Market Eyes 山口正仁)
■米長期金利上昇、「REITへの悪影響とみるのはまだ早い」=野村証(1/14)
野村証券は13日付のJ-REIT(日本の上場不動産投資信託)リポートで、2021年に米長期金利が上昇する中、米国REIT相場、J-REIT相場にとって悪材料として警戒する向きがあるとの見方を紹介。リポートでは「確かに過去を振り返ると、米長期金利が上昇基調を強める初期段階では米国REIT相場がいったんは下落し、その影響がグローバルREIT投資家のリバランスなどを通じてJ-REIT相場へ及ぶことも多かった」と振り返った。
一方で、長期金利の上昇が景気改善観測などを映した自然なもので、金融当局も金利上昇を容認できるほどの環境下では、「米長期金利上昇とともに日米REIT相場も上昇することが多かった」とも指摘。「最近の米長期金利の上昇がコロナ後の経済活動正常化展望や米政府の追加経済対策などの財政拡大観測を反映したものであるとすれば、過去の経験則からも持続的に日米REIT相場の悪材料になるとは考えにくい」とし、「米長期金利の上昇をJ-REIT相場にとっての持続的な悪材料と見るのはまだ早い」との見方が示されている。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
■12月のJ-REIT、海外と銀行が大幅買い越し、FTSE組入れも後押し(1/15)
東証が14日発表した2020年12月のJ-REIT(日本の上場不動産投資信託)、投資部門別売買状況によると、主な買い越し主体は銀行の230億円、海外投資家の218億円だった。売り越し主体では424億円を売り越した個人が目立った。
20年12月の東証REIT指数は5.68%高と20年5月(7.9%高)以来の大幅上昇となった。同月、J-REITの個別銘柄はFTSEへの指数組入れが発生していた。前回、20年9月の組入れ時には銀行が大幅に売り越していたが、2回目の組入れにあたる12月は海外・銀行ともに買い越しとなった。
みずほ証券は14日付リポートで銀行や海外投資家からの資金流入が目立った点について、「FTSE株式指数へのJ-REIT組み入れの影響が大きい」との見方を示した。それでも、「1月に入って再び緊急事態宣言が出されたことも、足もとの海外投資家のJ-REITへのスタンスを消極化させている」と、海外投資家のJ-REITへの関心は大きくないとも指摘している。
銀行の買い越しについては、「徐々にリスク許容度が回復するにつれて、資金は戻りつつある」との見方も示された。(QUICK Market Eyes 大野弘貴)
■REIT決算&開示情報
1/15 <決算>ユナイテッドU(8960) 分配金 (3,119円 2020/11実績)、2021/11予想(3,130円)
1/15 <決算>API (3279) 分配金 (9,547円 2020/11実績)、2021/11予想(9,280円)