【QUICK Money World 辰巳 華世】1月の日経平均株価は、月半ばは大きく上下する展開でしたが、月初と月末を比べるとほぼ横ばいとなりました。方向感を欠く展開となった1月に良いパフォーマンスを記録したのはどんな銘柄だったのか、確認してみましょう。
まずは日経平均の動きについて振り返ってみます。日経平均は1月初旬に一時、4万円台を付けましたが、月半ばには取引時間中に3万8055円まで下落しました。1月後半にトランプ米大統領の就任や日銀の金融政策決定会合などを控えて様子見ムードが広がっていたことに加え、米政府の人工知能(AI)向け先端半導体を巡る輸出規制見直し案を受けて半導体需要の先行き不安が広がったことが株価の重荷になりました。イベント通過後の相場は持ち直し、1月31日の日経平均終値は3万9572円と1月6日の大発会始値3万9945円から1%弱の下落となりました。
日経平均の月初と月末比較がほぼ横ばい推移だったこともあり、個別銘柄の株価上昇率も10%台にとどまっています。日経平均採用銘柄のうち、1月の上昇率トップはSCREENホールディングス(7735)で上昇率は14.5%でした。スクリンは24年11月、出荷済み半導体製造装置の売上計上時期を巡り不適切な会計処理があったとして半期有価証券報告書の提出を延長すると伝わって以降、株価は軟調に推移していました。ただ1月10日、一部で不適切行為に基づく会計処理を確認したが、金銭的重要性に乏しく過年度の有価証券報告書の訂正はしないと伝わったことや、「27年3月期までに半導体製造装置の生産能力を20%増やす」と報道されたことで買い戻され、株価が上昇しました。
ランキング上位には決算が好調だった銘柄が集中しています。2位は生活雑貨店「無印良品」を展開する良品計画(7453)で上昇率は14%でした。1月10日、25年8月期(今期)の連結純利益が従来予想から一転して増益となる前期比6%増の440億円になりそうだと発表しました。1株あたりの年間配当は従来予想から4円多い44円と、好調な業績と増配が好感されました。また、「中国に低価格小型店出店」と日本経済新聞社が報じたこともあり、株価は昨年来高値を付ける上昇となっています。良品計画の株価は好調な業績を背景に昨年11月以降、1本調子の上昇が続いています。
3位は東宝(9602)で上昇率は13.7%、4位は楽天グループ(4755)で上昇率は13.3%でした。東宝は、1月14日に発表した24年3〜11月期の連結決算が増収増益だったことが好感されて買われました。楽天グループは、携帯事業の業績や財務環境が改善傾向であることもあり年初から株価は上昇傾向です。30日には子会社の楽天証券ホールディングス(HD)の上場方針を取り下げると発表しました。
5位は野村総合研究所(4307)で上昇率は12.9%でした。25年3月期(今期)の連結純利益(国際会計基準)が従来予想を40億円上回る前期比16%増の920億円になる見通しと発表しました。6位の日本電気(6701、上昇率11.3%)も決算内容が良かったことで株価が上昇しました。
10位の任天堂(7974)は上昇率が10.1%でした。主力ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の後継機を25年に発売すると発表し、株価が上昇しています。株価は上場来高値を更新し続けています。
<2025年1月 日経平均採用銘柄上昇率トップ20>
順位 | 銘柄名 | 銘柄コード | 上昇率 |
1 | SCREENホールディングス | 7735 | 14.5% |
2 | 良品計画 | 7453 | 14.0% |
3 | 東宝 | 9602 | 13.7% |
4 | 楽天グループ | 4755 | 13.3% |
5 | 野村総合研究所 | 4307 | 12.9% |
6 | 日本電気 | 6701 | 11.3% |
7 | 安川電機 | 6506 | 10.8% |
8 | ファナック | 6954 | 10.5% |
9 | 三井不動産 | 8801 | 10.5% |
10 | 任天堂 | 7974 | 10.1% |
11 | みずほフィナンシャルグループ | 8411 | 10.1% |
12 | トレンドマイクロ | 4704 | 9.7% |
13 | 住友不動産 | 8830 | 9.5% |
14 | 太平洋セメント | 5233 | 9.5% |
15 | 野村ホールディングス | 8604 | 9.1% |
16 | 小松製作所 | 6301 | 8.9% |
17 | 住友ファーマ | 4506 | 8.7% |
18 | 日本郵政 | 6178 | 8.7% |
19 | カナデビア | 7004 | 8.7% |
20 | 千葉銀行 | 8331 | 8.7% |
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